2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥田 潤 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 助教授 (90334276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 敏博 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (60164117)
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Keywords | Edwardsiella tarda / タイプIII分泌装置 / エフェクター / 食菌抵抗性 |
Research Abstract |
(1)野生株とタイプIII変異株を用いた食菌作用抵抗性試験 マウス由来マクロファージに対する食菌作用抵抗性に野生株とタイプIII変異株の間で差があるかを検討した。野生株ではマクロファージ内に侵入した細胞内菌数は、感染後、経時的に増加したが、タイプIII変異株では、経時的に細胞内菌数は減少し、感染後22時間目で細胞内菌数はほとんど消失した。また、透過型電子顕微鏡による観察を行ったところ、感染直後では野生株およびタイプIII変異株ともに細胞内に侵入している像が観察されたが、感染12時間目では野生株のみ細胞内で増殖している像が観察され、タイプIII変異株では増殖している像は観察されなかった。これらの結果から、III型分泌装置はE.tardaのマクロファージ内での細胞増殖性に必須であり、III型分泌装置からマクロファージ内に分泌されるエフェクター蛋白質の存在が強く示唆された。 (2)マイクロアレイによるマウスマクロファージ遺伝子応答の解析 野生株とタイプIII変異株を用いた食菌作用抵抗性試験で差が認められたことから、それぞれの菌株を感染させたマクロファージからRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。その結果、野生株においてNF-κB制御下にあるサイトカイン遺伝子群や抗アポトーシス活性を有する遺伝子群の顕著な上昇が見られ、かつ野生株感染マクロファージに抗アポトーシス活性が認められた。さらに、このマクロファージの抗アポトーシス活性を阻害したところ、野生株の細胞内菌数は有意に減少した。以上の結果から、E.tardaは感染したマクロファージに抗アポトーシス活性を誘導することで,効率よくマクロファージ内で増殖することが可能になると考えられる。 (3)エフェクター候補遺伝子のノックアウト株の作製 E.tardaのタイプIII分泌装置遺伝子クラスターの全塩基配列から、推定されるエフェクターの候補遺伝子(10遺伝子)をリストアップし、それらの遺伝子のノックアウト株を作製した。 最終年度となる来年度は作製したノックアウト株を用いた食菌抵抗性試験や病原性試験についてさらに検討を進めたい。
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Research Products
(3 results)