2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚類ノダウイルスの宿主生息温度への適応進化メカニズムの解明
Project/Area Number |
18580185
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冲中 泰 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (80363034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 敏博 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科 (60164117)
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Keywords | ベータノダウイルス / 温度感受性 / リアソータントウイルス / キメラウイルス / SJNNV / RGNNV |
Research Abstract |
ベータノダウイルスはRNA1(RNA複製酵素をコード)およびRNA2(外被タンパク質をコード)をゲノムとする魚類ウイルスである。本ウイルスの温度感受性は、RNA1およびRNA2の両方に制御され、温度はこれらウイルスRNAの複製に大きな影響を与えることがH18年度までの研究で明らかとなった。そこで、RNA1が温度感受性に関与するメカニズムを調べるため、RGNNV(高温適応ウイルス)のRNA1を単独で培養細胞に導入した結果、25℃および30℃で複製を示した。しかしながら、SJNNV(低温温適応ウイルス)のRNA1を用いた場合は30℃では全く複製を示さないことから、RNA1はRNA2との相互作用無しで温度感受性を支配することが判明した。そこで、RNA1のどの領域が温度感受性決定に必要かを同定するため、RGNNVのRNA1の1部をSJNNVの相当部分と交換したキメラRGNNVウイルスを9種作製し、25℃および30℃での増殖性を検討した。その結果、RNA1の84-1419番目の塩基(複製酵素の1-445番目のアミノ酸をコード)が温度感受性決定に重要である事が判明した。この領域には酵素の活性ドメインは存在せず、ミトコンドリア膜への酵素の結合部位が含まれるごとから、膜への結合状態あるいは酵素の立体構造が温度の影響を受けることが示唆された。一方、SJNNV、RGNNVおよびリアソータントウイルスの粒子は30℃でも同様な安定性を示すことから、RNA2が如何に温度感受性を左右するかは今後の検討課題である。
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