2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の卵細胞質の成熟機構の解明による生体外良質卵作出技術の開発
Project/Area Number |
18580187
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
香川 浩彦 University of Miyazaki, 農学部, 教授 (60169381)
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Keywords | ウナギ / 卵成熟 / 卵細胞質成熟 / 吸水 / 生体外培養 / アクアポリン / 卵質 / IGF-I |
Research Abstract |
浮性卵を産む多くの海産魚類では正常な受精や胚発生が進行するためには、細胞質の透明化や吸水による卵径の増大とその結果起こる浮力の獲得などの卵細胞質の成熟が正常に行われることが必須である。しかし、卵細胞の透明化や吸水現象などの卵細胞質の成熟に係わる内分泌機構についてはほとんど研究されてないのが現状である。そこで、本研究ではウナギの卵母細胞の細胞質の成熟機構を解明するとともに、生体外卵子作出方法を開発することを目的として研究を行い以下の結果を得た。 1.生体内で起こる卵細胞質の成熟現象がどのような機構で誘起されているのかを明らかにするために、生体外培養法を用いて実験を行った。その結果、IGF-Iはウナギ卵母細胞の成熟は誘起しないものの、吸水を促進することが初めて明らかとなった。また、卵成熟誘起ステロイドにより誘起される卵細胞質の吸水には卵母細胞内でのタンパク合成が必要であることが判明した。またこの吸水にはGAP結合は関与しないことが明らかとなった。 2.吸水に必須のアクアポリンに対するポリクロナール抗体を作成し、免疫組織化学的に検討した結果、アクアポリンは卵黄形成開始時に卵母細胞中に出現し、卵細胞質の成熟に伴って卵黄塊および卵母細胞の原形質膜に存在するようになることが初めて明らかとなった。 3.生体外卵子作出方法を開発する目的で実験を行い、卵成熟誘起ステロイドにより生体外で12時間後に成熟が、18時間後に排卵が誘起されることが判明し、これに人工授精を行ったが受精卵は得られなかった。今後、培養液などの培養条件を検討する必要がある。
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Research Products
(4 results)