2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森友 忠昭 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20239677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 照幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00322496)
荒木 亨介 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (30409073)
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Keywords | 造血幹細胞 / 魚類 / ギンブナ / SP細胞 / 可塑 / 再生 / 血液 / 腎臓 |
Research Abstract |
【目的】我々は既にクローンギンブナを用いた移植実験によって硬骨魚類の主要な造血器官である腎臓中に自己複製能および多分化能を有する造血幹細胞が存在していることを示した。本研究では魚類造血幹細胞の分離法を確立するため、ギンブナの腎臓からside population(SP)細胞の分離および移植を試みた。 【方法】3倍体クローンギンブナ(Carassius auratus langsdorfii)の腎臓から白血球を分離し、Hoechst 33342を7.5μg/mlの濃度で添加して25℃、90分間染色した。またサンプルの一部にはABCトランスポーターの阻害剤であるverapamilを500μMの濃度で添加して染色を行った。染色後、フローサイトメトリー(FCM)によるSP細胞のソーティングを行い、これを3倍体ギンブナとキンギョ(Carassius auratus)の交配によって得られる4倍体雑種の尾部血管から移植した。移植後、DNA染色を行った末梢血白血球のFCM解析により、DNA含量の異なるドナー由来細胞の割合を長期間観察するとともに、ドナー由来細胞のソーティングを行い、形態観察およびRT-PCRによる多分化能の解析を行った。 【成績】SP細胞はギンブナの腎臓から約0.18%の割合で検出され、染色時にverapamilを加えたものではこれがほぼ消失していた。レシーピエント4検体のうち、3検体で移植40週以上に亘ってドナー由来細胞が末梢血中に維持されていた。さらに多分化能の解析によってSP細胞からT細胞を含む全ての種類の成熟血液細胞へ分化していることが示された。 【結論】以上より、哺乳類の骨髄SP細胞と同様にギンブナ腎臓SP細胞中にも造血幹細胞が濃縮されており、SP細胞は魚類においても造血幹細胞の分離法として有用であることが示された。
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