2006 Fiscal Year Annual Research Report
養魚自身が原因となる傷の発生メカニズムとその予防に関する研究
Project/Area Number |
18580194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
田畑 満生 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (70041853)
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Keywords | ニジマス / 体色変化 / 非侵襲的 / ストレス測定 / 攻撃 / 損傷 |
Research Abstract |
魚の体表・鰭の損傷は、魚自身の健康維持、さらには製品としての品質の観点から避けなければならない。これまで筆者らは、飼育下における魚の損傷の発生原因の中で、魚種間の攻撃に起因する損傷に着目してきたが、特に、(1)攻撃個体と非攻撃個体、あるいは(2)ストレスの低い個体と高い個体との間に、肉眼的にも判別能な体色の相違が認められることを明らかにしてきた。そこで、本研究ではこの体色変化を数値化することにより、従来困難であった非侵襲的なストレス測定法の開発を試みた。 水槽にニジマスを順化させるために、少なくとも1週間飼育して体色変動がない定常状態を確認した後、ニジマス個体を高精細画像記録した。その後、体表の濃淡部を含む2cm四方の局所画像を抽出し、黒斑部とその周辺の淡色部との明度の相対値(黒班部/周辺部)を測定した。測定にはLab値(黒0は、白は100で表示)を用いた。 定常的な安定状態では体表体色外観は淡い青緑色を呈し、比較的高い相対値を示した。これらの個体を取り出して、すでに長期間飼育しているニジマスの入った別の水槽に移動して、移動直後の高ストレス状態の高精細画像を記録した。その結果、別の水槽に入れられた個体も、元から移動先の水槽で飼育されていた別の個体も顕著な体色黒化が認められた。また、移動直後からの高頻度な遊泳活動や相互の攻撃などの特徴も認められることから、高ストレスに伴う黒化と考えられた。ストレス状態への暴露前後の明度の相対値を比較をしたところ、双方の個体とも低下していた。一方、黒班の明度の低下は認められなかった。以上の基礎的実験の結果から、ストレスに伴う体色黒化は黒斑周辺部の黒化が主因と考えられた。次年度は飼育密度を上げた実験を実施する予定である。
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