2007 Fiscal Year Annual Research Report
養魚自身が原因となる傷の発生メカニズムとその予防に関する研究
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18580194
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
田畑 満生 Teikyo University of Science & Technology, 生命環境学部, 教授 (70041853)
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Keywords | ニジマス / 体色変化 / ストレス測定 / 明度相対値 / 非侵襲的測定 |
Research Abstract |
平成18年度の実験から、低ストレス状態のニジマス体表の黒斑部と周辺淡色部の明度相対値(黒班部/周辺部)は高く、高ストレス状態においては明度相対値は低くなるという結果を得た。これらの実験が行われた飼育環境は、魚のストレス状態からみるといわば対極的な環境であったため、平成19年度においては、安定的で定常的な飼育環境を用いて明度相対値の変動を連続測定した。方法的には、個体識別可能な5尾群を収容した飼育水槽4基、群れの大きさ比較ための15尾群飼育水槽4基を用いて、50日間連続写真撮影し下記の解析結果を得た。 (1) 飼育水槽内の水質や透明度変化があっても、5尾群飼育水槽では経日的に個体ごとの明度相対値を測定できた。15尾群水槽では、すべての個体識別は困難なため、体色の明暗が顕著な2個体を選別し、経日的に測定できた。(2)いずれの個体群においても、個体ごとの明度相対値は経日的に変動し、その変動幅は個体ごとに異なることが明らかとなった。(3)攻撃個体は体色が明るく、明度相対値も高かった。一方、被攻撃個体は体色が暗化し、明度相対値も低かった。(4)5尾群と15尾群との比較では、5尾群の明度相対値は変動幅が大きく、しかも水槽間のバラツキも大きくなることが分かった。一方、15尾群では、5尾群に比べて明度相対値の変動幅が小さく、水槽間のバラツキも小さかった。(5)以上の実験結果から、明度相対値を指標とすることによって、個体間攻撃、階級性、社会性などに伴う、個体の生理的なストレス変化を水槽外部から非侵襲的に測定可能であることを明らかにした。
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