Research Abstract |
検索システムのトレーニングセットに用いる珪藻の写真を得るために,石手川(愛媛県),琵琶湖および内湖(滋賀県),八雲ケ原湿原(滋賀県)の珪藻の光学顕微鏡写真を同定・整理した。そのうち,石手川および八雲ケ原湿原の珪藻の同定結果を珪藻植生報告にまとめ,整理した顕微鏡写真を添えてそれぞれ日本珪藻学会誌Diatomに論文として公表した。 殼が脊腹性をもち,背側に特徴的な波打ちをもつ珪藻,Eunotia serraの外形を,有田・大塚(2004, 2005)の円弧構成モデルによりパラメータ化して測定した。背側の波形を構成する凸円弧の頂点は,両極側の一部を除いて大きな包絡円弧に内接していることが分かった。包絡円弧の半径は殼長と高い相関を示したが,その大きい負の切片は,殼長の短縮に伴って殼の湾曲がより強まることを示唆した。殼長の度数分布は,右に裾を引く対数正規分布にほぼ従った。殼幅はほぼ正規分有形を示し,殼長との相関は非常に低かった。波形の配列は切頂軸に対して対称性をもたず,極付近の形状も両極間で異なっていた。極円弧と隣接する波形の凸円弧の中心間隔は,平均凸円弧間隔の80%から5%までの範囲でほぼ一様分布をしていた。これは,殼の縮小に伴う波形数の減少が,極円弧が隣接する波形の凸円弧に向かって細胞分裂の度に近づいて行き,最後は両者が吸収合体されるという過程で起こることを強く示唆する。この結果を日本珪藻学会大会で発表し,現在,投稿論文を準備中である。 珪藻の輪郭を抽出するプログラムを作成し,その成果を農業機械学会関東支部年次大会で発表した。現在,輪郭を自動的にパラメータ化するためのプログラムを検討中である。特に殼の輪郭を構成する円弧の抽出については,座標変換後の折れ線回帰とHough変換の2つの方法を検討中である。
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