2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580198
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
大塚 泰介 Lake Biwa Museum, 研究部, 主任学芸員 (60344347)
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Keywords | 珪藻 / 輪郭 / 画像処理 / 同定 / データベース |
Research Abstract |
比良山系の標高1060m地点にある小女郎ヶ池の珪藻植生を報告した。19属38種の珪藻が同定され,他に3種の未同定種が見られた。ミズゴケ生体の上ではPinnularia schoenfelderiが,ミズゴケ枯死体の上ではKobayasiella micropunctataが優占した。それ以外の付着器物上ではEunotia rhomboideaやEunotia curvataが優占した。出現した代表的な種について,琵琶湖博物館の電子図鑑で写真を公開している。 小女郎ヶ池で採取したEunotia serraの計量形態学的分析を行った。殼長は対数正規分布にほぼ従ったのに対して,殼幅はほぼ正規分布に従い,両者は弱い正の相関を示した。背側の波形を構成する凸円弧の頂点は,両極側の一部を除いて大きな包絡円弧に内接していることがわかった。包絡円弧の半径を従属変数,殼長を独立変数とする回帰分析の結果は,殼長の短縮に伴って殼の湾曲がより強まることを示唆した。波形の配列は切頂軸に対して対称性をもたず,初生殼形成時から非対称であることも推察された。極付近の形状の分析から,殼の縮小に伴う波形の数の減少が,極円弧が隣接する波形の凸円弧に向かって細胞分裂の度に近づいて行き,最後は両者が合体するという過程によって起こることが推察された。 殼の輪郭を円弧の組み合わせに近似し,情報を数値化する方法として,市販のラスター・ベクター変換プログラムの使用が有効であることがわかった。しかし,これを応用した半自動的な同定支援システムを研究期間内に作成するには至らなかった。
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