2006 Fiscal Year Annual Research Report
魚卵アレルギーにおけるアレルゲンの解明と魚種間の免疫学的交差性の調査
Project/Area Number |
18580200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐伯 宏樹 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (90250505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 彰彦 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (40091483)
清水 裕 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 技術職員 (00374629)
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Keywords | 魚卵 / アレルギー / サケ |
Research Abstract |
1)9魚種(シロザケ,イトウ,ニジマス,スケトウダラ,アサバカレイ、ババカレイ、ホッケ、シシャモ、カペリン)の成熟卵から、0.5M NaCl(pH8.0)を用いて卵黄タンパク質を抽出し,ウェスタンブロッティングによってイクラアレルギー患者血清(n=13)との反応性を調べた。その結果,各魚種と反応したイクラ患者血清の割合は,シロザケ,イトウ,ニジマスでは100%,スケトウダラ38%アサバカレイ69%、ババカレイ77%、ホッケ85%、シシャモ38%、カペリン23%であった。また供試した患者血清は,わずかな例外を除いて主に抗イクラβ-cウサギ抗体(a-β)と反応する成分(すなわちイクラβ'コンポーネント(β-c)と免疫学的交差性を有する)と反応していた。これらの事実は,(ア)魚卵間にはβ-c類似タンパク質を介した免疫学的交差性が存在することを示している。 2)摂食機会の高いタラコ(スケトウダラ)とイクラの免疫学的交差性を詳細に調べるため,タラコからa-βと反応するタンパク質の精製を試みた。その結果,尿素-2ME存在下での55%硫安分画とゲルろ過クロマトグラフィーを経ることによって,タラコβ-c様タンパク質(β-Like)の精製に成功した。β-LikeのN-末端20残基アミノ酸配列はイクラβ-cと53%の一致をみた。 3)イクラβ-cとタラコβ-Likeの交差性に関する情報を得るため,競争ELISAによってイクラアレルギー患者血清に含まれる特異IgEの組成を検討した。その結果,イクラアレルギー患者血清には,β-cのみに反応する抗体(I群)とβ-cとβ-Likeの両方に反応する抗体(IT群)が存在することを確認した。また両者の存在量は,I群>IT群であった。これらの事実は,イクラβ-cとβ-Like間に共通のIgE結合エピトープが存在することを示している。
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