2006 Fiscal Year Annual Research Report
海水の温暖化に伴う養殖ブリの筋肉白濁現象の発生機構の解明ー酵素学的アプローチ
Project/Area Number |
18580207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 研治 長崎大学, 水産学部, 教授 (10039737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 勝康 長崎大学, 水産学部, 教授 (20171712)
長富 潔 長崎大学, 水産学部, 教授 (40253702)
濱田 友貴 長崎大学, 水産学部, 助教授 (90380831)
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Keywords | ヤケ肉 / ATPase / 筋原線維タンパク質 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
本年度は、"やけ肉"モデル魚作成条件の検討とモデル魚の筋肉特性、筋肉タンパク質の崩壊に関わるプロテアーゼの基礎的研究を行った。 1.やけ肉が発生する温度と致死条件を検討をするため、養殖ブリ一年魚を13℃(コントロール)と30℃(ヤケ肉モデル)の飼育水温で馴致後、脊髄破壊と苦悶死で致死させた。それらの筋肉を32℃で保存し、経時的に筋肉の"やけ"の程度を色差、破断強度、圧出水分量、筋肉pH、乳酸量、細胞周囲の面積から検討した。 その結果、やけ肉の指標であるL*が55以上は30℃苦悶死させた魚体では1時間、30℃延髄破壊死では2時間、13℃苦悶死では4時間で到達した。一方、13℃延髄破壊死では"やけ"は起こらなかった。また、4時間後の破断強度はコントロールの200-400g/cm^2であるのに対し、やけ肉では70g/cm^2であった。2時間後の圧出水分量はコントロールの13%に対し、やけ肉では38%であった。2時間後の筋肉pHはやけ肉では乳酸量に呼応し5.6に低下した。細胞周囲の面積がコントロールの16%に比べ、やけ肉では40%と増加していた。これらの変化は脊髄破壊死に比べ苦悶死させた魚の方が大きかった。 2.上記1の結果から、ヤケ肉の発生する条件(30℃飼育、苦悶死)のブリとコンロトール(18℃飼育、延髄破壊死)の養殖ブリを30℃の保存温度で保存し,筋原線維タンパク質の変性状態を調べるため経時的にATPase活性を測定した。また、筋原線維タンパク質の崩壊をSDS-PAGEで調べ、崩壊に関わるプロテアーゼ活性を測定した。 その結果、死後直後のCa及びMg-ATPase活性には変化が無かったが、2時間後ではコントロールに比べヤケ肉では、約1/3に低下した。筋原線維タンパク質の変化では、やけ肉ではミオシンとアクチンの分解が顕著で、α-アクチニンはあまり変化が無かった。やけ肉中のカテプシンB及びカテプシンL活性が高く、特にカテプシンL活性の増加が顕著であった。
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