2008 Fiscal Year Annual Research Report
海水の温暖化に伴う養殖ブリの筋肉白濁現象の発生機構の解明ー酵素学的アプローチ
Project/Area Number |
18580207
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 研治 Nagasaki University, 水産学部, 教授 (10039737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 勝康 長崎大学, 水産学部, 教授 (20171712)
長富 潔 長崎大学, 水産学部, 教授 (40253702)
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Keywords | ヤケ肉 / 筋原線維タンパク質 / カテプシン / プロテアーゼ / 肉質低下 |
Research Abstract |
前年度は、養殖ブリのやけ肉が起こる条件を検討し、やけ肉モデル魚を作裂した。本年度は、このモデル魚とコントロール魚を用い、養殖プリのやけ肉発生に伴う筋肉タンパク質の分解(品質低下)機構をプロテァーゼの観点からアプローチした。 1.やけ肉モデル魚及びコントロール魚の筋肉、特に筋原線維タンパク質の分解をSDS-PAGEで解析した。その結果、やけ肉が起こったブリの筋原線維、特にミオシン重鎖がやけ肉の進行と共に分解していることわかった。 2.やけ肉モデル魚では魚肉のpHが酸性(pH5.5-6.0)になることから、このpHで筋肉タンパク質の自己消化に関わると考えられるカテプシンB及びカテプシンL活性を調べた。その結果、やけ肉中のカテプシンB活性はコントロールに比ぺ上昇したが、4時間後以降、徐々に減少した。この減少の原因としては、保存中に溶出するドリップ中に酵素活性が認められることから、ドリップと共に酵素も溶出していることが考えられた。 一方、カテプシンL活性はカテプシンBに比べかなり低く、やけ肉とコントロールの間に差は見られなかった。 3.上記1.で述べたように、やけ肉では筋原線維タンパク質の分解、特にミオシン重鎖が分解していることから、筋原線維結合型の酵素活性をSDS-PAGEにより測定した。その結果、やけ肉筋原線維タンパク質の分解はEDTAなどのメタロプロテアーゼインヒビターで阻害された。このことより、新規の筋原線維結合型のメタロプロテアーゼ(MBMP)が存在し、このプロテアーゼがやけ肉発生に伴い筋原維タンパク質を分解してしいることが明らかとなった。今後、この新規プロテアーゼ(MBMP)に関する研究が急務である。
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