2008 Fiscal Year Annual Research Report
品目横断的経営安定政策が集落型農業生産法人の形成に果たす役割
Project/Area Number |
18580220
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
荒井 聡 Gifu University, 応用生物科学部, 教授 (90212589)
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Keywords | 品目横断的経営安定政策 / 集落営農 / 農業生産法人 / 農業共同体 / 条件不利補正対策 / ナラシ対策 / 生活共同体 / 水田経営所得安定対策 |
Research Abstract |
品目横断的経営安定政策に対応して集落営農組織の設立が想定される個別担い手が不足傾向にある地域を主たる対象として、同政策により集落営農組織がどの程度再編強化され、またそれが経営実体をもつ農業生産法人への移行に際していかなる課題を有しているか考察した。 主として福島県、岐阜県、宮崎県の集落営農組織のヒアリング調査を実施し、岐阜県については集落営農組織の動向に関する統計分析も実施した。また岐阜県を中心にヒアリング調査も行い、岐阜市、海津市、羽島市で合計12組織の異なるタイプの集落営農組織の現地調査を実施した。 これらの研究成果は、2009年度日本農業経済学会大会特別セッション「兼業深化地域における集落営農組織の法人化」などで報告し、また農林水産政策研究所プロジェクト研究[経営安定プロ]研究資料第2号「品目横断的経営安定対策下の集落営農組織の再編の現状と課題-岐阜県を中心として-」にて公刊されている。 とりわけ岐阜県海津市の事例では個別水田経営所得安定対策により、集落営農組織は受託組織から協業組織へとドラスチックに転化し、事業内容が作業委託から経営委託へと進化し、一部で賃借権の設定が進んだことを明らかにした。この背景には、集落営農組織が個人経営を「補完」するものから「包摂」するものへと徐々に形態進化し、組織経営体としての内実を兼ね備えてきたことを明確化した。 これら研究を通じ、農林水産政策研究所客員研究員として、集落営農組織の類型化などの政策形成にも寄与した。
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