Research Abstract |
セメント複合材の曲げに対する亀裂応力や限界モーメントは,設計を行う上で重要なパラメータである.本研究では,ジオグリッド,チキンメッシュ,四角メッシュ,ハイブリッドメッシュの4種類で補強したセメント複合材の曲げによる亀裂応力,および限界モーメントを実験により求め,まず,これら実験結果に基づき,亀裂応力および限界モーメントを求める新たな式を提案した.つづいて,本提案式と従来から提案されてきた式との比較を行い,両者が比較的良い一致を示すことを確認するとともに,提案した単純な式によっても,亀裂応力および限界モーメントを求めることが可能であることを示した. 朝夕の温度差による負荷のため,フェロセメント構造物の耐久性の低下が考えられる.このため,フェロセメントを用いた貯水構造物の設計における初期亀裂応力を考える場合,自然条件での気温変動の影響を考慮することが必要である.本研究では,有効鉄筋量を変化させたフェロセメント要素について,加熱および非加熱条件での実験を行い,フェロセメントの亀裂応力における加熱回数と有効鉄筋量との影響を調べた.その結果,初期亀裂応力は,繰り返し回数増加に伴うモルタル強度の上昇のため大きくなった.また,加熱しない場合に比べ,加熱した場合には応力低下が顕著であることが認められた.さらに,亀裂応力は,有効鉄筋量が0.75%から1.5%の間で大きくなった.本研究の結果,最適な有効鉄筋量は0.75%であり,これより有効鉄筋量が大きくなると,モルタルと補強材の間で生じる損失によって,亀裂応力は低下することが明らかとなった.
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