2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的にみた農業水路における魚類個体群ネットワークの実態解明
Project/Area Number |
18580250
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
小出水 規行 National Agricultural Research Organization, 農村工学研究所・農村環境部, 主任研究員 (60301222)
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Keywords | マイクロサテライトDNA / 魚類 / 農業水路 / 遺伝的集団解析 / 個体群ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は農村水域における魚類個体群の保全に向けて、分子マーカーの一つであるマイクロサテライトDNAにより個体群間の「ネットワーク=遺伝的交流」や遺伝的集団構造の実態を明らかにすることである。 平成19年度の主な実績は次の2つである。 1.ドジョウ個体群の遺伝的特性の解明:前年度に継続して、千葉県下田川流域におけるドジョウ個体群の遺伝的構造を解明した。分析には農業水路8本とそれらが合流する本川の54定点から採捕した各9〜48個体を用いた。尾ヒレ標本からDNAを抽出し、8つのマイクロサテライト遺伝子座におけるCAまたはCT配列の繰り返し数(対立遺伝子)データを個体別に取得した。1定点1個体群とみなして解析した結果、各個体群の1遺伝子座あたり対立遺伝子数は平均3.9〜9.0、ヘテロ接合度の観測値と理論値は平均0.444〜0.647と0.463〜0.628となり、どの個体群も自由交配集団と推定された。個体群間の遺伝的分化は水路・本川内で認められず、水路・本川間で一部有意となった(Fst=0〜0.161)。個体群を水路・本川別にグループ化して主成分分析および遺伝的由来先の決定解析を実施した結果、3水路の個体群に分化がみられることを確認した。 2.マイクロサテライトDNAマーカーの開発:ホトケドジョウ及びトミヨ属雄物型のマイクロサテライトマーカーを開発した。(1)ゲノムDNAの断片化、(2)マイクロサテライト領域を含むDNA断片のスクリーニング、(3)マイクロサテライト領域の塩基配列決定とPCRプライマーの設計を行い、ホトケドジョウについて17個(GenBank登録番号:AB286032〜AB286048)、イバラトミヨについて25個(AB300827〜AB300851)のマーカーを開発した。
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