2007 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素ストレスに対する無酸素耐性機構を利用した青果物の鮮度保持に関する研究
Project/Area Number |
18580254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川越 義則 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (80234053)
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Keywords | 農業工学 / ポストハーベスト工学 / 呼吸代謝 / 呼吸商 / 嫌気呼吸 / ホウレンソウ |
Research Abstract |
今年度は、限界酸素濃度付近の低酸素環境下から酸素濃度を上昇させた場合について検討した。供試材料は一定条件で養液栽培したホウレンソウである。酸素濃度0.08%(窒素バランス)に調製した気体を換気に用いた低酸素環境下で、環境制御型密閉法にて呼吸速度の測定を開始し、8、16、24、32時間後に酸素濃度1.0%(窒素バランス)に調製した気体に変更して換気を行い、全体で72時間の呼吸速度を測定した。測定開始後3時間において、呼吸商が約1.5まで上昇し、その後低下したが、酸素濃度0.08%の環境下では、1より小さくなることはなかった。しかし、酸素濃度1.0%の環境下に変更すると、呼吸商は直ちに1よりも小さくなり、0.8付近まで低下した。通常大気環境下での呼吸商は約0.8であり、限界酸素濃度付近における呼吸代謝過程が通常大気環境下と異なることが示唆された。呼吸速度は、酸素濃度0.08%環境下では通常大気環境下よりも明らかに小さくなり低酸素による呼吸抑制効果がみられたが、酸素濃度1.0%環境に変更した直後から呼吸速度が増大した。その様子は、酸素濃度0.08%環境とした時間の長短により異なった。つまり、酸素濃度0.08%環境が8時間の場合はいったん上昇しその後漸減した。32時間では、8時間の時ほどの急激な上昇はみられなかったが、時間とともに漸増した。以上のように、酸素濃度だけではなく、その環境に置かれた時間により、呼吸代謝過程が変化していることが示唆された。
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