2006 Fiscal Year Annual Research Report
エリート植物細胞工場を基盤とした有用原料物質の生産
Project/Area Number |
18580255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北村 美江 長崎大学, 環境科学部, 教授 (40108337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下町 多佳志 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (60249886)
富永 義則 長崎大学, 環境科学部, 教授 (70100881)
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Keywords | エリート植物細胞 / 有用物質生産 / 代謝工学 / 組織培養 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
有用原料物質の生産について研究し、以下の結果を得た。 遺伝子を導入したビート毛状根のクローンの中でHCHL遺伝子がポジティブのクローン用いて、バイオマスの生産および遺伝子発現の程度から、工業・医療用として有用なp-ヒドロキシ安息香酸(pHBA)の高生産が期待できる3クローンを選抜した。これらを用いて、pHBAとその誘導体生成のプロフィールを、今回購入したフォトダイオードアレイ検出器を用いて解析した。その結果、3クローンはいずれも遊離のpHBAを生産していることが判明した。また、pHBAの誘導体として、フェノール性水酸基が配糖化されたpHBAGとカルボン酸が配糖化されたpHBAGEを同定した。選抜したクローンの1つは他クローンと比較して、pHBA誘導体の生産量が10倍以上とエリートクローンであることが明らかになった。 もう一つの有用原料物質であるクマリン類の生産についてハマボウフウの培養組織を用いて検討した。医療用に用いられるフラノクマリンがストレス下の培養細胞で誘導されることを報告してきたが、今回、生合成の途中の経路からは非ストレス下でも常時発現していることを、投与実験、酵素活性の測定、遺伝子の発現を調べることで明かにした。このことは中間体を投与することで常時目的の化合物が得られることを示している。また、生産組織としてハマボウフウの根による生産を試みた。ハマボウフウの場合、アグロバクテリウムに感染しても毛状根の様態を示さなかったが、これはバクテリア由来の遺伝子が導入されても、これらの遺伝子が発現しないためであることがわかった。毛状根の性状を示さないため、植物ホルモンを添加して培養したところ、生長やストレスに対する感受性が変化していることが判明した。特に、ストレスに敏感に反応するエリートクローンを選抜した結果、ストレス下でのフラノクマリンの生産性の顕著な増大が見られた。
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