2006 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的胚発生能力を決定する卵母細胞育成中の環境要因に関する研究
Project/Area Number |
18580284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
平尾 雄二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・高度繁殖技術研究東北サブチーム, サブチーム長 (10355349)
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Keywords | 応用動物 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 卵母細胞 / 培養 / 発育 / 成熟 / 高分子化合物 |
Research Abstract |
ウシおよびブタの発育途上卵母細胞を様々な環境で12〜19日間培養して発育させ、得られた卵母細胞の能力を比較検討した。当初の計画に沿って以下の実験を遂行した。 1、卵母細胞のサイズと潜在的能力との関係については、平均直径が大きな集団は胚発生率も高い傾向が認められた。しかし、個々に見ると小さな卵母細胞から発生した例もあった。したがって、培養システムとしてはより大きな卵母細胞を生み出す環境が有利ではあるが、サイズが全てを決定するわけではないと考えられる。 2、培養環境の酸素分圧が及ぼす影響を調べた試験では、培養開始から4日間を5%の低酸素濃度で培養し、その後は20%酸素濃度の環境で卵母細胞を発育させると、体外受精後の胚発生率が高いことを見出した。以降、段階的酸素濃度調節を標準プロトコールとしている。 3、虚血・再酸素化で生じる障害に関する実験では、臓器保存液であるUW液やユーロコリンズ液の組成のうち、ホスホリパーゼの阻害薬に卵母細胞の生存性を向上させる効果を見出した。 4、卵母細胞の相互作用に関する実験では、集団での培養と個別培養とを比較した。培養後の卵母細胞の平均直径は、集団培養では113.1μm、個別培養では113.4μmとほぼ同じであり、減数分裂の第2分裂中期への成熟率もそれぞれ43%と47%でほぼ同等であった。卵母細胞の相互干渉という現象の有無はまだ不明であるが、培養システムとしては集団あるいは個別のいずれを選択することも可能であることが明らかとなった。 5、種々の高分子化合物の開放型培養システムへの適性度に関する試験では、新たにフィコールを使った培養液と、ポリビニルピロリドンを使った現行の培養液で実験を行って比較し、卵母細胞の生存性、発育、直径の増大のいずれにおいても同等であることを確認した。 以上の結果について、論文投稿準備中である。
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