2006 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物の空腸及び回腸パイエル板単離リンパ濾胞の多様性とその機能
Project/Area Number |
18580292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
保田 昌宏 宮崎大学, 農学部, 助手 (10336290)
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Keywords | 反芻動物 / 空腸パイエル板 / 回腸パイエル板 / リンパ濾胞 / B細胞 / 抗体遺伝子 / 多様性 |
Research Abstract |
反芻動物では空腸および回腸領域にパイエル板があり、前者が局所免疫を担う二次リンパ器官で、後者はB細胞が分裂増殖しプライマリーレパートリーを形成する一次リンパ器官であるとされている。しかしながら、胎生中期にまず二次リンパ器官である空腸パイエル板が形成され、胎生後期に一次リンパ器官の回腸パイエル板が形成される。まず、胎生期における両パイエル板リンパ濾胞内B細胞のクローナリテイやレパートリーの比較解析を実施すると共に、出生後にリンパ濾胞内のそれらがどのように変化あるいは進化していくかについて解析した。ヒツジの空腸及び回腸パイエル板リンパ濾胞を単離し、RT-PCR法で免疫グロブリンλ軽鎖抗体遺伝子を増幅し塩基配列を決定した。胎齢100日(この時期一次リンパ器官である回腸パイエル板リンパ濾胞は観察されない)の空腸パイエル板リンパ濾胞内B細胞はオリゴクローナルであったが、胎齢120日〜135日および出生後ではポリクローナルとなった。いっぽう回腸パイエル板では個体発生を通して濾胞内B細胞はオリゴクローナルであった。胎生期の両パイエル板リンパ濾胞内B細胞で点突然変異が観察され、出生後では特に可変領域の相補性決定領域に多くの点突然変異が蓄積されていた。このように空腸と回腸パイエル板リンパ濾胞内B細胞のクローナリテイは異なるが、胎生期より両パイエル板リンパ濾胞内でB細胞のレパートリーが形成されていることが明らかにした。次に、抗体遺伝子の多様性産生を制御する酵素の発現時期の特定にために、RAG1,RAG2,TdT,AID等をクローニングした。今後、個体発生を追って、両パイエル板リンパ濾胞内での発現解析を行う予定である。
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