2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫活性化遺伝子を導入した樹状細胞によるがん免疫賦活効果の検討とがん治療への応用
Project/Area Number |
18580295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (30171143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70115947)
赤澤 隆 大阪府立成人病センター, 分子遺伝学部門, 研究員 (80359299)
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00137241)
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Keywords | 樹状細胞 / がん免疫 / イヌ / インターロイキン12 / インターロイキン18 |
Research Abstract |
1.イヌ樹状細胞の作製と特性の解析:この研究では、より汎用性の高い樹状細胞の分化誘導法を試みた。すなわち、精製サイトカインではなく、イヌ末梢血T細胞を活性化刺激して得られたイヌサイトカイン溶液(T cell conditioned medium : TCCM)を用いて末梢血より分離した単球から樹状細胞へのin vitroにおける分化誘導を試みた。TCCMは、ナイロンファイバーカラムを用いて精製した末梢血T細胞(2×10^6/ml)を固相化抗イヌCD3抗体によって48時間刺激して作製した。このTCCMを25%含む液体培地で末梢血単球を培養すると、4日後にベール状のひだを持つ細胞が現れ、8日後にはほとんどの細胞が樹状様突起を持っ形態を示した。この樹状様突起は、その後培養時間とともに進展した。樹状細胞の特徴的表面抗原であるMHC Class IIおよびCD1aの発現は、培養とともに増加し、培養12日でプラトーとなった。また、リンパ球混合反応におけるT細胞活性化能も培養21日で最も高くなり、さらにインターロイキン12やインターフェロンγの産生も有意に増加した。それに対し、FITC標識デキストランを用いて測定した貧食能は培養とともに減少し、培養12日にはほとんど失われていた。以上の結果は、ヒトおよびマウスで報告されている樹状細胞の分化成熟過程に一致しており、TCCMとの12日間の培養によってイヌにおいても単球から成熟樹状細胞へ分化誘導できることが示唆された。 2.樹状細胞の免疫活性化能を高めるイヌサイトカイン遺伝子の作製:樹状細胞による抗腫瘍免疫効果をたかめるため、樹状細胞に導入することによってより免疫能を高めるインターロイキン(IL)-12およびIL-18遺伝子の作製をおこなった。イヌIL-12遺伝子の作製では、データーべ一スから求められるイヌIL-12 p40およびIL-12 p35遺伝子の5'および3'端の塩基配列をもとにプライマーを設計し、T細胞より作製したcDNAライブラリーをテンプレートとしてPCRによって目的とするcDNAを増幅した。増幅したcDNAの塩基配列を確認したのち、発現ベクターに組み込みクローニングを行った。抗イヌIL-12 p40抗体を用いた蛍光抗体法によってcDNAを導入したCHO細胞におけるIL-12タンパクの発現を確認できた。イヌIL-18遺伝子は、タンパクコード域をIL-12と同様にPCRによって増幅してクローニングを行った後、IL-12 p40遺伝子のシグナルシークエンス(SS)を5'側に付加し、単独遺伝子の導入によって細胞からIL-18タンパクの分泌を可能にすることを試みた。mycタグ抗体によってSSを不加したIL-18遺伝子(SS-IL-18遺伝子)を導入したCHO細胞からのタンパク発現が確認でき、さらにそのタンパクが末梢血T細胞からインターフェロンγの産生を誘導できた。ことから、SS-IL-18遺伝子のみの単独導入によって機能的IL-18タンパクが産生されることが証明された。
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Research Products
(6 results)