2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580300
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小川 健司 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室, 先任研究員 (50251418)
|
Keywords | アクチビン / T細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
アクチビンは、細胞の増殖・分化などの調節に働く多機能因子である。我々は、免疫担当細胞におけるアクチビンの作用に着目し、ヘルパーT細胞におけるアクチビン産生とその機能についての研究を進めた結果、アクチビンAは液性免疫に重要な役割を果たすタイプ2ヘルパーT細胞(Th2)の活性化にともなって特異的に産生される事が示された。この結果は、アクチビンAがアレルギーや抗体産生などのTh2が引き起こす免疫応答に重要な役割を果たしている可能性を示唆するものである。我々は、Th2が産生するアクチビンAのマクロファージに対する作用について検討した。マクロファージは、自然免疫と獲得免疫の双方に重要な免疫担当細胞である。近年、ヘルパーT細胞がタイプ1(Th1)とタイプ2(Th2)に分類されるのと同様に、マクロファージも機能的に異なる二種類のタイプ(M-1およびM-2)に分化する事が知られる様になって来た。我々は、アクチビンAがマクロファージの分化に働く可能性を検討した。先ず、IFN-γが誘導するマウス腹腔内マクロファージおよびマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞のNO2-産生に対するアクチビンAの効果を検討した。他の代表的なTh2サイトカインと同様、アクチビンAはIFN-γが誘導するNO2-の産生を抑制する事が明らかとなった。M-2マクロファージのマーカーであるarginase-1のmRNA発現は、アクチビンAによって上昇した。一方、IFN-γによって誘導されるM-1マクロファージのマーカーであるiNOSのmRNA発現は、アクチビンAによって阻害された。これらの結果から、アクチビンAはマクロファージのM-2への機能的分化に働くTh2サイトカインである事が明らかとなった。
|