2007 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門モデルを用いたウエストナイルウイルス神経侵襲メカニズムの解明
Project/Area Number |
18580302
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 享史 Hokkaido University, 人獣共通感染リサーチセンター, 准教授 (90261338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
好井 健太朗 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (50421988)
澤 洋文 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (30292006)
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Keywords | ウイルス / 脳・神経 |
Research Abstract |
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)をトランスウエルに培養することにより作製した血液脳関門(BBB)のin vitroモデルと、ウエストナイルウイルス(WNV)ウイルス様粒子(VLPs)を利用して、以下の実験を行った。 WNV強毒株である6LP株のVLPs(6LP-VLPs)および弱毒株であるEg101株のVLPs(Eg-VLPs)をin vitro BBBモデルに感染させ、BBBを透過したVLPsの量を24時間後に測定した。トランスウエル内に接種した6LP-VLPsの約1/10量が下方のチャンバーから検出されたが、同様に接種したEg-VLPsは下方のチャンバーからほとんど検出されなかった。このように両者のin vitro BBB透過性には有意な差が認められ、ウイルスの毒力とBBB透過性との関連性が示唆された。次に6LP-VLPsのBBB透過機序の解明を試みた。タイトジャンクション(TJ)の構造変化による透過性亢進の可能性を検討するために、HUVECに6LP-VLPsを感染させ、0、8、24時間後にTJのマーカーであるZO-1の免疫染色を行った。非感染細胞と感染細胞のZO-1の局在には差がなく、WNV感染によりTJの構造は変化しないことが示唆された。また、トランスサイトーシスによってウイルスが血管内皮細胞を通過する可能性を検討するため、カベオラエンドサイトーシスの阻害剤であるFilipin、クラスリンエンドサイトーシスの阻害剤であるChlorpromazineがWNV6LP株の細胞への侵入に及ぼす影響を検討した。その結果、Chlorpromazine処理によりWNV感染が有意に減少し、WNVの血管内皮細胞への侵入にはクラスリンエンドサイトーシスが関与することが示唆された。以上より、WNVはクラスリン介在性経路を利用したトランスサイトーシスによってBBBを通過する可能性が示唆された。
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