2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペスチウイルスのビルレンスへ寄与するゲノムの5'端非翻訳領域の特異的二次構造
Project/Area Number |
18580303
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
原澤 亮 Iwate University, 農学部, 教授 (70159101)
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Keywords | ペスチウイルス / ビルレンス / 5'端非翻訳領域 / 二次構造 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、ペスチウイルスRNAの5'端非翻訳領域を増幅させるためのRT-PCR法を開発してきており、また、その塩基配列を決定し、さらに高次構造を推定する技術を所有している。そこで、本研究では野外での採材のほか、国内の各自治体や研究機関で採取された検査材料を入手して調査した。RT-PCR法により増幅したDNA断片についてはその塩基配列を決定し、その一次構造に基づいてCLASTAL Wにより系統樹を作成するとともに、二次構造を推定し回文様塩基置換解析を行った。ペスチウイルスゲノムの5'端非翻訳領域にみられる回文様塩基置換は本申請者らにより初めて明らかにされた現象で、ペスチウイルス属内の各ウイルス種に固有な置換様式があることをこれまでの研究により明らかにしている。しかし、回文様塩基置換の生物学的意義については不明であり、その解明が求められていた。本研究では、偶蹄目におけるペスチウイルス検索を通して、病原性の明らかな強毒株と弱毒株の比較から回文様塩基置換におけるそれぞれの特徴を明らかにした。調査の結果、5'端非翻訳領域の3箇所にみられる種特異的な回文様塩基置換のほか、強毒株にほぼ共通に観られる特定の塩基の存在を明らかにした。これをマーカーにして、持続感染牛の検査を実施することにより、牛ウイルス性下痢粘膜病の発生を予防できることが期待される。
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Research Products
(5 results)