2007 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ球菌エンテロトキシンファミリーの比較ゲノミクス
Project/Area Number |
18580304
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
重茂 克彦 Iwate University, 農学部, 准教授 (60224309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部, 教授 (60133906)
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Keywords | S. aureus / Staphylococcal enterotoxin / recombinant DNA / genome biology / diagnosis / pathogenicity islands |
Research Abstract |
本年度は、Staphylococciのゲノム配列情報を解析し、ブドウ球菌の重要な病原因子でありヒトの食中毒の原因毒素であるエンテロトキシン(SEs)遺伝子群がコードされている可動性遺伝因子(genomic islandsおよびプラスミド)の保有状況とブドウ球菌の病原性の関連を明らかにすること、および新型SEsの生物活性について詳細な解析を行うことを目的として以下の研究を行った。 1) エンテロトキシンをコードするプラスミドの解析と新規エンテロトキシンの生物活性の解析 SE1JおよびSE1R遺伝子をコードするプラスミドpF5の全塩基配列を決定し、本プラスミドはさらに2種類の新規エンテロトキシン遺伝子(SESおよびSET)をコードしていることを明らかにした。SESおよびSETを組換え型タンパク質として発現し、その生物活性を詳細に検討した。SESは、MHC class II分子の存在下でVβ9を有するTcellを活性化する典型的なスーパー抗原であり、また霊長類に経口投与すると、5時間以内に嘔吐を引き起こす典型的なエンテロトキシン活性を有する毒素であることを明らかにした。SETは、スーパー抗原活性を有するもののVβ特異性は明確ではなく、また霊長類での嘔吐活性も典型的なSEsに比して潜伏期が延長していることを明らかにした(投稿中)。 2) 新型SEsの生物活性の解析 霊長類モデルを用い、未だ嘔吐活性の有無が明らかにされていない新型SEs(SE1K,SE1L,SE1M,SE1N,SE1O,SE1P,SE1Q,SE1R)の嘔吐活性を解析した。カニクイザルにこれらの毒素を経口投与し、連続5時間観察して嘔吐の有無を確認し、これらのSEsはいずれも霊長類に対して嘔吐活性を有することを明らかにした。これらのSEsは古典的なSEsと同様にヒト食中毒の原因毒素となり得ることが推測された(投稿準備中)。
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Research Products
(2 results)