2007 Fiscal Year Annual Research Report
腐植土抽出物による魚類インネートイムニティーの誘導と感染防御効果
Project/Area Number |
18580311
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
児玉 洋 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (20091449)
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Keywords | インネートイムニティー / 冷水病 / Flavobacterium psychrophilum / 腐植物質 / 疾病予防 / アユ |
Research Abstract |
【背景と目的】腐植土は湿地帯や海底から得られ、堆積した動植物の遺体などが、その組織的形状がみられない状態まで腐植されたものである。腐植土から得られる腐植物質について、これまで理化学性状や自然環境の改善に関する研究がなされてきたが、動物の生理機能に与える効果については、研究はほとんどなされていない。今回、アユのFlavobacterium psychrophilum感染症(いわゆる冷水病)に対する腐植土抽出液の感染防御効果を検討した。【材料と方法】腐植土抽出液添加飼料を給餌したアユを、強毒F.psychrophilum SG990302株で浸漬攻撃した。アユの生死および体表の病変を観察し、同時に菌分離を実施した。またPCRを用いて、F.psychrophilum遺伝子を検出した。 【結果】まず腐植土抽出液の、F.phychrophilumを含む魚病細菌9種15株に対する抗菌作用を調べたところ、いずれも抗菌作用を示した。F.psychrophilumの生存率は、腐植土抽出液希釈液のpHに依存していたことから、その殺菌活性は抗生物質などが有する殺菌作用ではなく、低pHによることが強く示唆された。アユへの腐植土抽出液添加飼料の給餌は、冷水病に対し感染防御効果をもたらすことが示された。攻撃21日後における正常飼料給餌アユの生残率は35%であった。体表の潰瘍部および鰓からはF.psychrophilumが分離され、菌の遺伝子も検出されたた。一方、腐植土抽出液を5%含む飼料を給餌したアユにおいては、皮膚病変は観察されず、生残率は96%であった。生残魚の皮膚および鰓からは菌は分離されず、また菌の遺伝子も検出されなかった。【考察】アユへの腐植土抽出液添加飼料の給餌は、冷水病に対し感染防御効果をもたらすことが明らかとなった。投与された腐植土抽出液が腸管より吸収、あるいは血中に存在することにより感染防御効果をもたらすと推測され、現在その機序を解析中である。
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Research Products
(2 results)