2007 Fiscal Year Annual Research Report
犬損傷関節軟骨の修復における組織間葉系幹細胞の役割とその可能性
Project/Area Number |
18580315
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥村 正裕 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (80260397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 徹 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (50181376)
高木 哲 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (50396305)
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Keywords | 獣医学 / 再生医学 / 細胞・組織 / 獣医整形外科学 |
Research Abstract |
骨髄には、骨、軟骨、脂肪およびその他の組織への分化能を有する間葉系幹細胞が存在する。また、それ以外の組織にも分化能が異なるが組織のもととなる幹細胞が存在すると考えられている。本研究では、これらの幹細胞を損傷軟骨の修復に利用することを目的に、以下の試験を実施した。 (1)間葉系幹細胞の同定とその軟骨分化能に関する検討:骨髄由来の付着性ストローマ細胞を回収し、培養環境下で骨、軟骨および脂肪への分化刺激を与えたところ、それぞれへの分化が確認されたため、多分化能を有する細胞であることが確認され、これを骨髄間葉系幹細胞として以下の実験に使用した。 (2)出生直後、発育期、成熟期それぞれの動物から間葉系幹細胞を採取し、立体的濃縮培養系であるpellet培養法を用いて培養したところ、出生直後の動物由来の細胞をTGF-β_1非存在下でも硝子軟骨細胞様に分化させることに成功した。また、II型コラーゲンのハイドロゲル内ではTGF-β_1存在化で軟骨細胞様へ分化誘導することができた。これらの細胞の性状を分析したところ、組織学的にはほぼ完全な硝子軟骨であるが、遺伝子レベルでは必ずしも完全に軟骨細胞への分化は達成されておらず、細胞培養環境等のファクターをさらに解析する必要性が明らかとなった。 (3)関節軟骨の最も近傍の構造物は滑膜である。数は少ないものの滑膜由来と考えられる細胞が滑液中に存在する。犬の各種関節疾患において、滑液中に存在する細胞群に同様の多分化能を有する幹細胞様細胞が存在するかどうかを検討した。変形性関節症、炎症性関節症など、滑膜炎および正常の関節液を採取し、付着性のストローマ細胞を回収し、骨、軟骨および脂肪への分化誘導を行った。その結果、各種関節疾患および正常の関節液中にも多分化能を有する細胞の存在が確認された。これは、生体の軟骨修復過程を考察する上で非常に価値の高い所見であると考えられた。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 老齢動物の跛行2008
Author(s)
奥村 正裕
Organizer
平成19年度日本獣医師会学会年次大会
Place of Presentation
サンポート高松(香川県高松市)
Year and Date
2008-02-11
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