2007 Fiscal Year Annual Research Report
耕地に適用可能な生物多様性指標の探索と水田共存生態系への応用
Project/Area Number |
18580325
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂井 直樹 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00092213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 久喜 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (70251022)
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Keywords | 資源バランス / 環境調和型農業 / 生物多様性 / 耕地生態系 / 持続性 |
Research Abstract |
(1)生態系の複雑化を想定した水田において、イネの共存作物として選んだ水面被服植物、ホテイアオイの栽植密度を変化させた際の作物の応答を調べた。イネの密度を22.2株/m^2に統一し、ホテイアオイの密度を22.2〜0株/m^2とした5区に加え、ホテイアオイのみを11.1株/m^2で栽植した区の計6区で検討した。ホテイアオイ密度の増加に対してイネの生育量は減少したが、光競合によりホテイアオイの草高は増加した。さらに、養分競合によりイネのLAIが減少した。ホテイアオイの密度の増加に対してm^2当たり穂数や一穂穎花数が減少し、玄米収量は減少した。ホテイアオイ密度の増加に対して籾収量は減少したが、共存系全体のC・N固定量はホテイアオイの補償作用で増加した。イネの収量減少をある程度覚悟すると、水田生態系における環境保全効果を念頭においた新たな展開場面を考えていくことが可能となると判断された。(2)作物生産システムにおける評価手法を検討する目的で、水田における要素欠乏や過剰施肥を要因とする肥料要素が環境負荷と籾収量に及ぼす影響を検討した。田面水の全窒素濃度(TN)は、基肥施肥・代かき時と、2回の追肥後の3時期に急激に上昇し、全リン濃度(TP)は基肥施肥・代かき時にのみ増加した。生育期間中の積算メタン発生量および精籾重は、無肥料区<三要素区<三要素+堆肥区<窒素倍量区となり、両者の間には高い正の相関が見られた。このことから、肥料要素が穂数を介して収量とメタン発生量の双方に影響することが明かとなった。収量と環境負荷を総合的に評価するために、籾1g当たりの積算メタン発生量、田面水のTNおよびTPを算出し、これらの値を三要素区を100としたときの比率で表して検討した結果、肥料要素処理の違いにより単位籾収量あたりの環境負荷に及ぼす影響が大きく異なることが明かとなった。
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Research Products
(2 results)