2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミズクラゲの浮遊挙動に及ぼす光電気化学的刺激の影響評価とそれを用いる生態制御
Project/Area Number |
18580327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
馬場 凉 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (70198951)
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Keywords | 海洋生態 / 光電気化学 / 生物・生体工学 / シグナル伝達 / ミズクラゲ / 浮遊挙動 |
Research Abstract |
原始的な神経系しか持たないクラゲの浮遊挙動を解明し制御することで、ミズクラゲの大量発生に伴う火力発電所や船舶における冷却用取水トラブルの解消やクラゲによる漁業被害の低減に向けた有効な対策技術になることが期待される。本研究実施1年目の今年度においては、以下の項目を検討した。 1、飼育環境の整備とミズクラゲの拍動自動計測システムの構築 飼育水槽の整備や給餌法などの改良を行い、水温・水流、塩分濃度、アンモニアや亜硝酸の濃度等に配慮してミズクラゲのライフサイクルの観察、継続的飼育に適した飼育環境を整備した。 ミズクラゲの拍動や浮遊挙動の時系列データを蓄積し解析する目的で、ミズクラゲの拍動を光散乱もしくは超音波散乱測定によって計測・記録する自動化システムを試作し計測した。水槽壁面での超音波反射あるいは多重散乱、水流の揺らぎやクラゲそのものの多様な運動による背景散乱光の問題など、測定方法の問題点が明らかになった。そこで、ビデオカメラで記録したデジタル動画像の画像解析を通じて拍動の様子を記録・解析するプログラムのプロトタイプを作成し、クラゲ体表に適当なマーカーさえあれば、拍動計測できるところまでできた。 2、ミズクラゲの浮遊挙動に及ぼす光や電圧、超音波などの影響評価 ミズクラゲの拍動と浮遊挙動を制御するために、ポテンショスタットを用いた電気刺激以外に超音波、可視光などの刺激を水槽内のミズクラゲに照射し、刺激の有無に対する拍動の変化を記録した。微弱電気刺激および可視光刺激では数百分の一ヘルツから数キロヘルツまで変調したものを照射し、超音波は超音波測距計の超音波(44kHz)を定常照射した。現在までの観測結果からは可視光(白色光、赤色光(670nm)、緑色光(550nm))または微弱交流電圧を数ヘルツから百分の数ヘルツ程度に変調した場合に拍動数の減少が見られたが、個体差が大きく、まだ明確な結論は得られていない。
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