2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミズクラゲの浮遊挙動に及ぼす光電気化学的刺激の影響評価とそれを用いる生態制御
Project/Area Number |
18580327
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
馬場 凉 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 教授 (70198951)
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Keywords | ミズクラゲ / 浮遊挙動 / 海洋生態 / 光電気化学 / 生物・生体工学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
原始的な神経系しか持たないミズクラゲの浮遊挙動を解明し制御することで、クラゲの大量発生に伴う火力発電所や船舶における冷却用取水トラブルの解消、あるいはクラゲによる漁業被害の低減に向けた有効な対策技術の確立に資する目的で、以下の項目を検討した。 1、ミズクラゲの拍動の自動計測と長時間データの解析 ミズクラゲの拍動や浮遊挙動について長時間にわたりデジタルビデオ記録を行った。昨年度に自作した画像解析プログラムでは短時間の重心追跡が限界であった。そこで、今年度新規に購入した市販の画像解析ソフトを用い、撮影したビデオデータからミズクラゲの断面形状を2値化し、断面積の時間変化に変換して拍動挙動および浮遊挙動を反映した時系列データを得た。光散乱法を用いて散乱光強度の時間変化から浮遊挙動を追跡する方法に比べ、この画像解析を用いる方法では、クラゲの拍動強度の変化や浮遊姿勢、遊泳方向などについてより詳細に検討できることが明らかになった。 2、ミズクラゲの浮遊挙動に及ぼす光照射の影響評価 ミズクラゲの拍動と浮遊挙動を光で制御するために、各色(赤、青、緑)のLEDパネル、ハロゲン灯、蛍光灯、レーザー(He-Ne、半導体)を光源として水槽内のミズクラゲに照射し、光刺激の強弱や有無あるいは変調光照射に対する拍動や浮遊挙動の変化を検討した。一定時間の拍動数平均値に注目した安田らの先行研究('02)と異なり、定常的な光刺激に対し有意な影響は見られなかったが、光のONあるいはOFF直後の過渡的な拍動数変化、特に光のON/OFFの1分程度以降では明(暗)順応により拍動数が元のレベルに戻り光馴化が起こることが示唆された。
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