2008 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム紅河デルタ農村の地下水ヒ素汚染に対する大量化学肥料投与の影響評価
Project/Area Number |
18580330
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒澤 靖 Kyushu University, 熱帯農学研究センター, 准教授 (70128114)
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Keywords | 紅河デルタ / アンモニウム態窒素 / 化学肥料 / 地下水 / ヒ素 / 水質基準 / 還元溶出 / 窒素同位体比 |
Research Abstract |
ベトナム・メコンデルタの農村で2008年に行った地下水ヒ素汚染調査の結果を、2009年にバングラデシュで開かれた「地下水ヒ素汚染から人的健康被害に関するセミナー」で発表した。調査した農村では、地下水のヒ素濃度は平均1,050ppbで、これはWHO水質基準を大幅に超えていた。地下水ヒ素濃度と酸化還元電位およびペーハー値には負および正の各相関関係があり、地層から地下水へのヒ素溶出機構として、還元溶出と、配位子交換の2つが考えられた。地下水ヒ素濃度の高いところでは、アンモニウム態窒素濃度も高く、アンモニウム態窒素が間接的にヒ素の還元溶出に係わっていると考えられた。 また、2008年にベトナム・紅河デルタで地下水ヒ素汚染の調査を行った。このうち前回地下水ヒ素濃度の高かったハノイ南部の農村では、地下水の水質を再測定した。また海岸近くの地区を調査対象に加え、ここでも他と同様の調査を行った。ハノイ南部の農村では今回も地下水のアンモニウム態窒素濃度が高かった(平均15mg/L)。海岸近くの地区では、地下水にヒ素は殆ど検出されなかった。地下水のアンモニウム態窒素濃度は平均で4mg/Lで、比較的大きかった。ここでは、地下水にヒ素が溶出しやすい環境にあるが、地層中にヒ素が含まれないと考えられた。 水の流れのシミュレーションには、地形、土壌、水理条件および気象要素、特に日射量が必要である。ここでは、気温・日照時間から日射量を予測するモデルについて、諸モデル間の予測精度の比較を行った。日照時間・気温・日射量を紅河デルタ農村で実測し、その値を各モデルにあてはめて検討した。その結果、Angstromのモデルの精度が良く、気温のデータし得られない所では、Hargreavesのモデルの精度が良いことがわかった。
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