2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え技術を用いたブタ糞尿中のリン低減化に関する研究
Project/Area Number |
18580335
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
久松 伸 麻布大学, 環境保健学部, 講師 (10198997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90298232)
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Keywords | 遺伝子組換え / 乳酸菌 / ブタ / リン / フィターゼ / 富栄養化 |
Research Abstract |
本課題では、ブタ糞尿からのリン排出量の低減化を推し進めた養豚を実現するために、有機リン化合物(フィチン)の利用性が極めて高いブタの飼育方法及びフィチンを分解できる酵素(フィターゼ)の活性が高い遺伝子組換えブタの開発を試みることにしている。本年度は、フィチンの利用性を高めるための方法として、フィターゼ活性を持たない乳酸菌にフィターゼ遺伝子を導入し、得られる乳酸菌をブタに接種することでフィチンの分解を促すことを目指し、まず、高いフィターゼ活性をもつ大腸菌(健康なブタの糞便から単離)からフィターゼ遺伝子の獲得を行った。次に、高フィターゼ活性を持つ遺伝子組換えブタの作出のために利用するペプシノーゲン遺伝子の獲得を試みるためにPCR法で用いる各種プライマーの設計を行った。このペプシノーゲン遺伝子は、翻訳されペプシノーゲンとなった後、胃酸に暴露されることによってペプシンとして活性のある酵素となるが、この胃酸によって活性型に変化する機能をフィターゼに持たせるために、フィターゼ遺伝子とペプシノーゲン遺伝子の部分配列を連結したキメラ遺伝子を構築することにしている。そのためにまず、ブタの胃を採取し、この胃を数ミリ角に切断した後、RNA分解を阻害する試薬であるRNaLaterに浸け、-80℃にて保存した。更に、このペプシノーゲンmRNAからcDNAを得ること、及びペプシノーゲン遺伝子の長さの異なる様々な5'及び3'末端の領域をPCR法を用いて増幅するために、いくつかのプライマーが必要となる。本年度、各種プライマーの設計が行えたため、これらのプライマーを用いることで、フィターゼ遺伝子とペプシノーゲン遺伝子断片を連結したキメラ遺伝子を作成できる状態になった。併せて、構築した遺伝子の機能を調べるために利用するブタの培養細胞の選択と培養を行ったため、来年度の実験が円滑に行える準備ができた。
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