2006 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス制御による植物モデル実験系の確立とストレス耐性機構の解明
Project/Area Number |
18580339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石川 孝博 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (60285385)
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Keywords | レドックス応答 / 植物培養細胞 / アスコルビン酸ペルオキシダーゼ / 環境ストレス / ストレス応答遺伝子 |
Research Abstract |
1.一過的なAPX発現抑制によるレドックス応答解析モデル実験系の確立と評価 レドックス制御による植物モデル実験系として、植物細胞内H_2O_2代謝の鍵酵素アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)に着目し、その一過的な発現抑制系をタバコBY-2培養細胞を用いて作製した。エストロゲン誘導型発現ベクター(pMDC7)に細胞質型APXをアンチセンス方向に導入し、構築したコンストラクトをタバコBY-2細胞へ形質転換した。得られた形質転換細胞に対し、エストラジオール(Est)誘導後のAPX活性を指標にスクリーニングを行い、最終的にAtAS3を得た。誘導の最適条件を検討したところ、Est 12.5μM濃度で48時間処理が最適であり、コントロールに対して約30%のAPX抑制効果を示した。AtAS3の細胞内レドックス状態を細胞内H_2O_2量およびフルオレッセインを用いて評価したところ、Est誘導後有意なH_2O_2の蓄積およびフルオレッセイン蛍光の増大が観察された。またEst誘導後のAtAS3は、塩および熱ストレスに対する耐性の強化が認められ、レドックス応答解析のためのモデル実験系が当初の予定通り確立できた。 2.レドックス応答遺伝子群の機能解析 Est誘導後のAtAS3に対し、レドックス応答性を示すストレス関連遺伝子群(今回はPALおよび5種類のHSP)について定量的PCR法により遺伝子発現レベルを検証した結果、いずれの遺伝子も顕著な発現上昇が観察され、遺伝子発現レベルからもAtAS3のレドックス応答解析モデル実験系としての有用性が確認された。さらにレドックス応答遺伝子の網羅的な解析を目的にサブトラクション法を行った。現在、レドックス応答遺伝子のスクリーニングと同定作業を継続中であり、平成19年度にはこれらの解析を完了する予定である。
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