2007 Fiscal Year Annual Research Report
2つの機能の異なる糖結合ドメインの糖鎖結合メカニズムの構造生物学的解析
Project/Area Number |
18580342
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
逸見 光 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所・食品分析研究領域, 主任研究員 (70353993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 敦 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 研究員 (50302287)
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Keywords | 蛋白質 / 糖鎖 / NMR / レクチン / 糖認識ドメイン |
Research Abstract |
本研究では、NMRを用いてR-typeレクチンファミリーに属する2つのタンパク質、放線菌由来キシラナーゼ中のキシラン結合ドメイン(XBD)と血球凝集能を持つミミズ由来レクチンのC末端ドメイン(EW29Ch)の両糖結合ドメイン間における糖鎖結合メカニズムの違いを解析し、R-typeレクチンファミリーの持つ幅広い機能を解明することを目的とする。本年度においても、15N-HSQCスペクトルによる糖との滴定実験を行い各種糖との結合活性(XBDについては、キシロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオース、EW29Chについては、ガラクトース、α-メチルガラクトース、β-メチルガラクトース)を調べた。その結果、XBDの3つの糖結合部位の結合活性が各種糖で異なるとともにキシロ糖の鎖長が長くなるほど結合活陛が強くなった。従って、XBDの3つのサブドメイン中の各結合部位はそれぞれ異なる糖結合活性及び特異性を持つことから、XBDがキシラン触媒ドメインに対する基質の固定と関係することが示唆された。EW29Chでは2つの糖結合部位のうちのα結合部位がどの糖に対してもγ結合部位に比べ遙かに強い結合活性を持ち、さらに、アノマー特異性も持つことが分かった。これらの結果より、2つの糖結合部位における結合様式が大きく異なることが明らかになった。また、STD-mm法による糖側の相互作用部位解析においてラクトースのガラクトース残基が主に結合に関与することが分かった。さらに、EW29Chの糖との結合におけるケミカルシフト値の変化が各種糖で異なることから、糖結合によるタンパク質側の構造変化が糖により異なり、その違いが血球凝集能と関係することが示唆された。従って、糖に対する糖結合部位の結合活性及び特異性がその機能と重要な関係にあることが示唆され、現在分子モデリング法によりさらに詳細に解析を進めている。
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