2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病をターゲットとする新規ポリフェノール素材の開発研究
Project/Area Number |
18590006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 功 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (20038607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (90171769)
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Keywords | ツチトリモチ / ヒアルロニダーゼ / リポキシゲナーゼ / ウシ睾丸 / 大豆リポキシゲナーゼ / コーヒー酸 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度まで得られた3種のツチトリモチ成分のうち、ツチトリモチ(Balanophora japonica)の主要成分であるポリフェノール類について、ヒアルロニダーゼ、リポキシゲナーゼ阻害活性を測定した。 ヒアルロン酸は関節、硝子体、皮膚、脳など広く生体内の細胞外マトリックスに見られる。とりわけ、関節軟骨では、アグリカン、リンタンパク質と非共有結合し、超高分子複合体を作って、軟骨の機能維持に極めて重要な役割をしている。従って、関節炎や角結膜上皮障害の治療薬として利用される。ヒアルロニダーゼはこのグリコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸を加水分解する酵素であり、この酵素の働きを阻害できれば老齢化による関節の痛み、肌のつやの維持に大きく寄与し、生活習慣病の予防に大きな寄与が期待できる。 ウシ睾丸のヒアルロニダーゼを用い、これに対する基質としてヒト臍の緒ヒアルロン酸を用い複合物生成による不透明度をλ600nmで測定し阻害活性とした。検定した化合物はコーヒー酸、コーヒー酸の配糖体、リグナンなどであり、フラボノイドのクエルセチンを対照にした。その結果、コーヒー酸、グルコースのトリカフェオイル体、変形DHHP基を持つグルコースのコーヒー酸誘導体にケルセチンに比較して強い活性が見られた。 リポキシゲナーゼは炎症に係わるロイコトリエンをアラキドン酸から生成する酵素であり、この酵素の働きを阻害する事によって、炎症を鎮める事ができる。関節痛や頭痛など各種炎症がリポキシゲナーゼ阻害活性を持つ化合物により、有効に鎮める事ができる可能性がある。 リポキシゲナーゼ阻害活性の測定には、酵素として大豆のリポキシゲナーゼを用い、基質をリノール酸とした。不飽和脂肪酸であるリノール酸の酸素による酸化で、過酸化脂質が生成される過程を大豆リポキシゲナーゼが抑制するのをλ234nmで測定し、フィセチンを対照として数値を比較した。その結果、コーヒー酸や1-カフェオイル6-O-ガロイルグルコースに強い活性が見られた。 これらの結果について、香港の国際学会で発表した。
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