2006 Fiscal Year Annual Research Report
塩基により活性化されたシリカートに基づく新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
18590007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 誠 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (50207792)
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Keywords | シリカート / 蝕愛 / 不斉合成反応 / アルドール反応 / ホスフィンオキシド / シリルエノールエーテル / アリル化反応 / 立体選択性 |
Research Abstract |
塩基により活性化されたシリカートに基づく新規触媒反応を探索した結果、以下の成果を得た。1.光学活性なビナフトラートが、トリアルコキシシリルエノールエーテルとアルデヒドの不斉アルドール反応の触媒となり、興味深いことに、反応系内の水の有無により立体選択性が大きく異なることを見出した。さらに、本反応において、水が配位した高活性なシリカートが中間体となっていることが明らかとなった。これは、今後の反応機構解明への重要な知見となった。2.光学活性なホスフィンオキシドBINAPOが、アリルトリクロロシランによるアルデヒドの不斉アリル化反応の触媒となりうることをすでに見出していたが、その際、ジイソプロピルエチルアミンの添加が反応促進に不可欠であった。今年度は、その反応加速効果の機構解明を^<31>P-NMRにて詳細に検討した結果、ジイソプロピルエチルアミンが配位子交換によりホスフィンオキシドのケイ素からの解離を促進するため触媒サイクルを加速していることが判明した。この結果は、さらに効率的な反応促進剤の設計のための重要な指針となることが期待される。3.光学活性なホスフィンオキシドBINAPOが、トリクロロシリルエノールエーテルとアルデヒドとの不斉アルドール反応の有用な触媒となることを見出していた。特に、環状ケトンから誘導したエノールエーテルを用いた場合、2つの連続する不斉中心をほぼ完壁に制御することができた。アルドール反応は、最も重要な炭素-炭素結合形成反応の一つであるため、本法は、不斉アルドール反応の新たな一手法を提供したのみならず、ホスフィンオキシドの有機触媒としての新たな可能性を提示している。
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