2008 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉芳香族アミノ化反応を利用する光学活性含窒素化合物の効率的合成
Project/Area Number |
18590018
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 理 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 准教授 (30214787)
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Keywords | アトロプ異性 / ラクタム / アミノ化 / 不斉触媒 / アルキル化 / 立体分岐合成 / 光学分割 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度開発した触媒的不斉芳香族アミノ化反応により高エナンチオ選択的に得られた光学活性アトロプ異性ラクタムの化学的性質、ならびに当該ラクタムを用いた不斉反応について検討した結果、以下の知見を得た。 1、アトロプ異性ラクタムで観察された過剰エナンチオマーの分離現象 光学活性アトロプ異性ラクタム(70%ee)の過剥エナンチオマーが、アキラルなシリカゲルカラムを用いる中圧の液体クロマトにより効率良く分割できることを見出した。すなわち過剰に存在する一方のエナンチオマーが回収率45%、エナンチオ過剰率99%eeで分離された。このような分離現象は他のキラル化合物でも報告されているが、炭素-窒素軸不斉化合物では最初の例となる。 2、光学活性アトロプ異性ラクタムを用いるα-置換ラクタムの高選択的立体分岐合成 昨年度申請者は、光学活性アトロプ異性ラクタムから調製したラクタムエノラートを用いて高立体選択的なα-アルキル化反応の開発に成功している。今回、α-アルキルラクタム生成物からエノラートを調製し、さらにアルキル化やプロトン化を行なうことで、α-アルキルラクタムやα,α-ジアルキルラクタムの立体分岐合成を行なった。その結果、プロトン化およびアルキル化のいずれもが高ジアステレオ選択的に進行することを見出した(プロトン化は90%de、アルキル化は98%de)。これにより、α-置換ラクタムならびにα,α-二置換ラクタムの両ジアステレオマーが高選択に合成可能となった。
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