2006 Fiscal Year Annual Research Report
動的速度論分割に基づく新規不斉Heck反応の開発と応用
Project/Area Number |
18590022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野出 學 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60027076)
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Keywords | 不斉Heck反応 / アトロプ異性 / 動的速度論分割 / standishinal類縁体 / dichroanal B / dichroanone / taiwaniaquinone H / 構造-活性相関 |
Research Abstract |
申請者は乳癌に対する新規抗癌剤として、アロマターゼ活性を示すstandishinalの不斉全合成を目指している。その予試験としてHeck反応を用いるラセミ合成を検討した結果、最近報告されているstandishinal類縁体の合成法に比べ、申請者の合成法は短工程・高収率で達成でぎた(JOCに掲載)。本合成法を不斉合成に適用するには、Heck反応に不斉リガンドを用いれば可能と思われたが、反応基質にアトロプ異性体が存在することが確認され、本基質は不斉反応には一般的に適用出来ないことが判明した。しかし、Heck反応は加熱が必要であることから、この加熱によりアトロプ異性体間で平衡が成立する(動的速度論分割)と予想し、種々の反応条件を検討した。この結果、不斉リガンドを用いて100℃付近で化学収率(80%以上)と不斉収率(95%)と共に満足できる結果を得ることができた。本反応の生成物よりstandishinal類縁体であるdichroanal B, dichroanone, taiwaniaquinone Hの効率的不斉全合成に成功したが、合成されたものは非天然型の光学異性体であった。本年度は天然型の化合物を合成する予定である。 Standishinalの不斉合成には上記の反応基質とは別の化合物を用いて不斉Heck反応を試み、本年度にその全合成を達成する予定である。また、standishinalのラセミ合成を達成し、それらの合成中間体を用いてアロマターゼ活性に対する構造一活性相関を行った結果、A/B環は天然物のトランス体よりもシス体の方がより強い活性を示すことが確認された(Bioorganic & Medicinal Chemistryに掲載)。
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