2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘチサン型トリカブトアルカロイドの汎用型合成ルートの確立
Project/Area Number |
18590026
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Research Institution | Research Foundation Itsuu Laboratory |
Principal Investigator |
村竹 英昭 Research Foundation Itsuu Laboratory, 副所長 (60142064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 信子 財団法人乙卯研究所, 研究員 (10390759)
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Keywords | トリカブト / ヘチサン型アルカロイド / ノミニン |
Research Abstract |
トリカブトは日本三大毒草の一つとして数えられるが、含有されるアルカロイド(aconite alkaloid)は古くから漢方で利用されてきた有用な医薬でもある。我々はケトン、アルデヒド、ニトロ基に対するパラジウム触媒α-アリール化反応を見出したのを契機にトリカブトアルカロイドの全合成研究を開始し、5種類ある代表的な骨格の内、唯一合成が達成されていなかったヘチサン骨格の(±)-Nominine全合成を世界に先駆け達成した。とはいえ、本合成は多段階を要し、多大な労力と熟練した合成技術を持ってせねば、これを再現することも困難である。そこで、合成経路を再検討し、工程数短縮を図り、また、光学活性体合成への手掛かりを得るべく検討した。 合成経路改良の試み:中間体、2-フェネチルシクロヘキセノン誘導体への工程を改善すべくTaberらの方法により2-メトキシ安息香酸から一挙に2-アルキルエノンを得べく種々検討したが、β-ハロフェネチル体からスチレンへの脱離が優先し、所望のアルキル化は起きなかった。一方、出発原料2-ブロモ・5-メトキシフェネチルヨージドの大量調製法を確立した。 光学活性中間体調製の試み:ニトロメタンの不斉付加は、文献記載条件では進行しない。条件を苛烈にし、進行したが不斉誘起は起こらなかった。また、dl-ニトロメタン付加体を酒石酸ジエステルのアセタール体とすると、4種ジアステレオマーをHPLC分離することに成功した。これにより理論上は光学分割、再生利用が可能となったが、同様な分離条件下オープンカラムでの分離は不可であった。以上の考察から、光学活性体を得るためには既存経路でdl体を合成後、たとえば二級水産基をベンゾイル化などしてキラルカラムによる分離を行なうことが最も現実的方法であると結論した。
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