2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス防御神経ステロイドの精密捕捉と向精神病薬開発への展開
Project/Area Number |
18590031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
東 達也 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (90272963)
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Keywords | 神経ステロイド / LC-MS / 誘導体化 / ラット脳 / ストレス / 抗不安・鎮静作用 / エタノール |
Research Abstract |
まず、LC-ESI-MS/MSを用いて_γ-アミノ酪酸タイプA(GABA_A)受容体のアロステリックモジュレーターであるallopregnanolone(AP)及びepiallopregnanolone(EAP)とそれらの前駆体である5α-dihydroprogesteroneのラット脳内及び血清中レベル測定法を開発した。本法はESI活性な誘導体化試薬を駆使して、APとEAPの同時定量を可能とした初のLC-MS分析法である。EAPはAPの抗不安・鎮静作用に対してアンタゴニストとして働くことが示されていたが、その内因性レベルやストレスによるそれの変動は未解明であった。そこで、開発した方法によりこれらの点を精査したところ、EAPの脳内レベルはストレスにより大きく増加し(0.15ng/g tissue以下から約0.6ng/g tissue)、またEAPは血中からは検出されなかったことから、本ステロイドは脳特有の産物であることを見出した。さらにエタノールの抗不安作用は神経ステロイドを介したものであることが示唆されており、この点を検証したところ、エタノール投与によりいずれのステロイドの脳内濃度も有意な上昇を示した。 一方、testosterone(T)に代表されるアンドロゲンも薬理学的な濃度で実験動物に投与すると、抗不安・鎮静作用を示すが、その内因性レベルは明らかではなかった。そこで、ラット脳内及び血清中T及びその活性体と推測される3α,5α-androstanediolのLC-MS定量法を開発した。なお、後者のそれには電子捕獲APCI-MSを活用した。脳内及び血清中レベルの関係から脳内で検出されたTの大部分が末梢組織由来であること、これらのアンドロゲンはストレス負荷によってそのレベルに大きな変化がないことを明らかとした。
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