2006 Fiscal Year Annual Research Report
擬似基質を模倣したオリゴペプチドに基づく上皮増殖因子受容体阻害剤の研究
Project/Area Number |
18590032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 義弘 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (90093236)
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Keywords | 擬似基質 / オリゴペプチド / 上皮増殖因子受容体 / EGFR / 阻害剤 / 自己リン酸化 |
Research Abstract |
1.オリゴペプチドによるEGFRの自己リン酸化抑制 EGFRの自己リン酸化部位(Tyr992、Tyr1068、Tyr1148、Tyr1173)のアミノ酸配列を有するペプチドの中で、自己リン酸化抑制効果を持つものはTyr1068、Tyr1148、Tyr1173をそれぞれ由来とするペプチドAc-VPEYINQ-NH_2、Ac-DYQQD-NH_2、及びAc-ENAEYLR-NH_2であった。これらのペプチド中の、TyrをLeu、Phe、リン酸化チロシン(pTyr)、及びAlaに置換したペプチドについて、自己リン酸化抑制効果を検討した。その結果、3種類全てのペプチドの、Tyr→Leu置換体は抑制効果が消失した。Tyr→PheおよびTyr→pTyr置換体は抑制効果に変化がみられなかった。Tyr→Ala置換体は、DAQQDについては抑制効果が増加したが、他の2種類のペプチドでは抑制効果が消失した。以上のことから、オリゴペプチドに含まれる芳香環を側鎖に持つアミノ酸残基が、EGFRの自己リン酸化抑制に重要な役割を果たしていると結論した。 2.負電荷を欠損させたオリゴペプチドによるEGFRの自己リン酸化抑制 自己リン酸化抑制効果を持つ3種類のペプチドが基質結合部位に結合すると仮定すれば、ペプチド中の酸性アミノ酸を中性アミノ酸に置換することにより抑制効果が消失すると考えられる。そこで、酸性アミノ酸を中性アミノ酸に置換したペプチドによる自己リン酸化抑制効果を検討した。その結果、予想に反してDYQQDのAsp→Asn置換体(NYQQN)とENAEYLRのGlu→Gln置換体(QNAQYLR)の自己リン酸化抑制効果は大きく増加した。これらの結果は上記の予想に反しているため、これらのペプチドのEGFRへの結合部位は基質結合部位ではないと結論した。
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