2007 Fiscal Year Annual Research Report
分配係数logPの理論解析およびその薬物分子-タンパク質の相互作用解析への応用
Project/Area Number |
18590034
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中馬 寛 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20304545)
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Keywords | 分配係数 / log P / 非経験的分子軌道法 / 疎水相互作用 / チトクロームP450 / HIV-1プロテアーゼ / 定量的構造活性相関 / 電荷移動 |
Research Abstract |
薬物分子とその標的タンパク質との結合に伴う結合自由エネルギー変化(ΔG)に分配係数等の疎水性因子の他に電子的因子が影響することを前年度までに示したが、本年度は主にチトクロームP450(CYP)およびHIV-1プロテアーゼ(HIV-1 PR)のそれぞれの阻害剤について実験、非経験的分子軌道法計算に基づく定量的構造活性相関(QSAR)解析を行い以下の成果を得た。 1.一連のアゾール系阻害剤のCYP2B6およびCYP3A4への結合・阻害活性値の精密測定を行い、ΔGの変動が阻害剤の分配係log Pのbilinear式および最高占有軌道エネルギーで定量的に表されることを示した。この結果からアゾール系阻害剤疎水部とCYP活性部位近傍の疎水性残基間の疎水相互作用がΔGの変動に支配的であるとともに、アゾール環からCYPヘム鉄部位への電荷移動に支配されることを明らかにした。 2.HIV-1 PRの阻害剤については、これまでに阻害剤構造のみの情報を用いたQSAR解析結果がすでに報告されている。環状ウレア型阻害剤とHIV-1 PRとの複合体「まるごと」の非経験的分子軌道法計算を行い、その統計解析結果から疎水相互作用に加えて、阻害剤・活性部位近傍とアミノ酸残基間の電荷移動がΔGの変動と線形関係にあることを明らかにした。 以上の非経験的分子軌道法に基づく定量的構造活性相関解析の今後の創薬への応用を考えるとき、阻害剤・基質の絞込みや分子軌道法計算等では得ることが困難な物性パラメータの検討や薬物動態など関連分野の研究も重要となる。この目的のため情報科学的手法(ケモ・バイオインフォマティクス)を用いた関連研究を行った。
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Research Products
(22 results)