2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境応答型高分子を用いた個別化医療のための薬物代謝能評価・機能解析システムの開発
Project/Area Number |
18590038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
金澤 秀子 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (10240996)
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Keywords | 機能性高分子 / 個別化医療 / 薬物代謝能評価 / 生体機能解析システム / 環境応答性高分子 / キャピラリーLC |
Research Abstract |
本研究は、環境応答性高分子修飾高機能表面を用いた生体機能解析システムの構築により、ゲノム情報に基づく個別化医療のための患者個人の薬物代謝能評価システムの確立を目的としている。温度やpHなどのまわりの環境変化を自ら認識し応答するインテリジェントな環境応答性高分子を分子設計し、外部変化に応答して分子認識や選択性を制御する高機能表面を用いた既存の方法にはない全く新しい概念の生体機能解析システムの実現を目指している。 平成18年度は、イオン交換基の導入により、静電的相互作用で選択的に分子を識別する高分子材料を開発した。高分子の性質は、側鎖に影響されるため、側鎖にイオン性解離基を導入すると、これらがプロトンのセンサー分子として働き、温度とpHの変化に応じてきわめて鋭敏に高分子鎖の形態を変える(温度/pH応答性高分子)。このような外部環境応答型の高分子をHPLC充填剤に応用し、1つの分離担体を用いた系において温度という1つの環境因子により疎水性相互作用と静電的相互作用の2つの相互作用のコントロールに成功した。本システムを医薬品やタンパクの分離に応用した。さらにテーラメード医療にむけて薬物代謝酵素P450代謝能解析のためには個々のプローブ薬物の測定が必須となるが、テストステロンとその代謝物などP450分子種のプローブ薬物とその代謝物の分析にキャピラリーLCを用いた微小な系で成功した。使用する溶媒量や試料量を約100分の1程度と大幅に削減でき、有機溶媒を用いない方法であることから、手術室内への持ち込みも含めた医療現場での測定法として期待される。また、血液など生体試料の分析の際には、血清タンパクなどの除去のために前処理が必要となるが、本システムでは、血清を前処理なしに注入可能であり、薬物モニタリングなどの臨床への応用が可能であった。
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