2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン対形成とマイクロエマルションを利用したイオン性薬物の経皮吸収
Project/Area Number |
18590041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北河 修治 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00108911)
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Keywords | 経皮吸収 / 皮膚 / イオン対 / マイクロエマルション / 吸収促進 / イオン性薬物 / ジクロフェナク / ケトチフェン |
Research Abstract |
薬物の経皮投与はいくっかの長所を有することから経皮吸収製剤の開発が進められているが、経皮吸収性の改善が最大の問題である。特に皮膚透過性の悪いイオン性薬物の透過性を改善するため、まず、カウンターイオンとイオン対形成を行い、溶媒に溶解させ、皮膚透過性の改善をモルモット背部摘出皮膚を用いたin vitroでの実験によって試みた。さらに形成したイオン対をマイクロエマルションの油相に分散させることによって、さらなる吸収性の改善を試みた。 まず、抗炎症薬のジクロフェナクイオンを対象として検討した。カウンターイオンとして、n-ヘキシルアミン、iso-オクチルアミン、ベンジルアミンを用いることによって非水性溶媒ミリスチン酸イソプロピルへの溶解度が増大し、皮膚透過量も増大した。りん酸緩衝液、ミリスチン酸イソプロピル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル(Tween80)、エタノールからなるマイクロエマルションを調製し、ジクロフェナクイオン、ベンジルアミンイオン対を添加したところ、イオン対の溶解度は217〜302倍増大した。これに伴ってジクロフェナクイオンの皮膚透過量も4.9〜10.7倍増大した。補助界面活性剤エタノールの含有量が多いマイクロエマルションほど、より顕著な吸収促進作用を示した。 次に陽イオン性薬物であり、皮膚透過性の悪い薬物でもある、抗アレルギー薬のケトチフェンの皮膚透過について検討した。カウンターイオンとして、オクタンスルホン酸イオンを用いることによって非水性溶媒ミリスチン酸イソプロピルへの溶解度が増大し、皮膚透過量も顕著に増大した。マイクロエマルションを用いることによってケトチフェンの皮膚透過性が促進することも確認した。現在、イオン対形成とマイクロエマルションを共に用いることによってさらなる皮膚透過性の亢進が得られるか検討を進めている。
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Research Products
(1 results)