2007 Fiscal Year Annual Research Report
イオン対形成とマイクロエマルションを利用したイオン性薬物の経皮吸収
Project/Area Number |
18590041
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北河 修治 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (00108911)
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Keywords | 経皮吸収 / 皮膚 / イオン対 / マイクロエマルション / 吸収促進 / イオン性薬物 / ケトチフェン / ポリフェノール |
Research Abstract |
薬物の経皮吸収はいくつかの長所を有することから経皮吸収製剤の開発が進められているが、経皮吸収性の改善が最大の問題である。いくつかの経皮吸収性の改善方策の中で、皮膚透過性の悪いイオン性薬物の透過性を改善するためには脂溶性のイオン対形成が有効である。一方、薬物の皮膚透過性の改善に、マクロエマルションが有用であることが明らかにされている。 平成18年度はジクロフェナクイオンを対象として、n^-ヘキシルアミン等のカウンターイオンとのイオン対形成により皮膚透過性が改善すること、さらにりん酸緩衝液、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、Tween80、エタノールから構成されるマイクロエマルションにイオン対を溶解して適用することで皮膚透過がさらに亢進することを明らかにした。平成19年度は、平成18年度の研究でイオン対形成による経皮吸収性の改善を明らかにした陽イオン性薬物のケトチフェンにつき、同様に検討を進め、塩化ナトリウム水溶液、IPM、Tween80、エタノールから構成されるマイクロエマルションに溶解して適用することで皮膚透過がさらに亢進することを明らかにした。 最近、紫外線による皮膚の光老化防御を目的としてポリフェノールの皮膚への適用が考えられている。しかしながら、水にも有機溶媒にも溶解しにくく、皮膚透過性も悪いフラボノイド等のポリフェノールの皮膚への取り込み効率は非常に悪い。今回、マイクロエマルションを利用することによってポリフェノールの皮膚への取り込みを著しく改善できることを明らかにした。イオン性のクロロゲン酸等のポリフェノールにはイオン対形成を利用することで更なる皮膚取り込みの改善が期待でき、本研究によって皮膚の光老化防御製剤の開発にも応用できる基礎データを得ることができた。
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