2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 隆弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90333450)
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Keywords | 細菌 / 感染症 / 異物排出蛋白 |
Research Abstract |
18年度は以下のような成果を得た。 ■異物排出蛋白質AcrDとMdtABCの鉄獲得における役割 tolCあるいはacrDmdtABC欠損株の培地中から酢酸エチル層に鉄キレート物質,エンテロバクチンを抽出し、TLC法及び高速液体クロマトグラフィー法により培地中量の変動を調べた。予想通りの結果を得た。すなわちtolC欠損株においては培地中エンテロバクチン量が報告通りに約50%に低下することを確認した。この条件下でΔacrDΔmdtABC欠損株においてもエンテロバクチン濃度がtolC欠損株と同レベルまで低下していた。従って、AcrDとMdtABC異物排出蛋白質の本来の生理的役割がエンテロバクチンの菌体外への放出である可能性を示した。薬剤耐性と鉄獲得という2種類の異なる役割を果たしていることになる。菌体外エンテロバクチン濃度の定量で明確な差が認められたので計画していた鉄輸送実験を中止し、この段階で論文作成を進めている。 論文タイトル A biological function of multidrug transporters in iron homeostasis T.Masaki, H.Hirakawa, T.Hirata, A.Yamaguchi, K.Nishino(in preparation) この成果は、米国微生物学会、国際生化学会、大腸菌研究会においてポスターあるいは口頭発表を行った。 ■トランスポーターのバイオフィルム形成における機能探索 大腸菌のバイオフィルム形成株を用いてトランスポゾン挿入法により7種の新規バイオフィルム形成能低下株を得た。そのうち6種においてone-step PCR法を用いて遺伝子欠損株を作成し、少なくとも3種の遺伝子にっいてはその欠損によってバイオフィルム形成能が50%以下になることを確認した。 ■蛋白質の局在をもとにした異物排出蛋白質の新機能の探索 2年後以降のための材料作りを終了した。すなわち、市販ベクターは哺乳類用に最適化されているので、自身で細菌用のGFP蛍光蛋白質融合ベクターの構築を行った。trcプロモーターを利用して強度が異なるものを2種類作成した。予備的にGFPだけを発現する株を構築し十分な蛍光強度を持つことを確認した。このベクターを使用して異物排出蛋白質遺伝子と融合させ蛍光蛋白質を発現させることが可能になった。
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Research Products
(2 results)