2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
井出 利憲 広島国際大学, 薬学部, 教授 (60012746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 志津子 広島国際大学, 薬学部, 助手 (80435065)
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Keywords | 幹細胞 / 肝実質細胞 / 間葉系幹細胞 / テロメラーゼ / hTERT / ヒト細胞 |
Research Abstract |
幹細胞はヒト体細胞の中では例外的にテロメラーゼ発現細胞で、分化能力を維持し長期増殖可能である。テロメラーゼが幹細胞にたいして特異な役割を持っている可能性について探求するため、増殖継続性に加えて分化能力維持に対しても、テロメラーゼが何らかの役割を果たす可能性を検討した。 従来からの研究として、ヒト成人由来の肝実質細胞へのテロメラーゼ遺伝子(hTERT)導入細胞の解析をまとめた。培養系では20回程度しか分裂できない肝実質細胞が、hTERTを強発現させると分裂可能回数が大きく増加し、無限増殖能を獲得した。分化機能の多くが維持されるが、肝実質細胞特異的なケラチンのみならず、胆管上皮細胞特有のケラチンも同時に発現した。ヒトでは肝内における肝幹細胞の有無は明らかでないが、肝幹細胞は胆管上皮細胞へも分化しうると想定されており、hTERTの発現によって増殖継続能力のみならず、胆管上皮細胞へも分化しうる性質を獲得したとすれば興味深い。これらについて、J.Hepatology誌に投稿した(審査中)。 間葉系幹細胞は、移植医療への応用を視野に注目されるが、十分量を得るのが難しい。培養系で増殖させる方法が模索されるが、増殖継続が難しい、テロメラーゼ活性を消失する、分化能を失いやすいなど、問題が多い。hTERTの導入によって改善されるとの報告はあるが、遺伝子導入細胞を移植に使うことには問題で、別の方法が必要である。疑似的無重力状態を作る装置によって培養したところ、間葉系幹細胞の増殖能が著しく改善され、関節への移植によって軟骨を再生する能力を維持した。内因性のhTERT活性が復活するものと予想したが、活性は低い状態のまま保たれていた。以上について、Stem Cells and Development誌に投稿し、受理された。
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