2006 Fiscal Year Annual Research Report
依存性薬物への"渇望"の再燃に関わる脳内責任部位ならびに生体機能分子の解明
Project/Area Number |
18590060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
山本 経之 長崎国際大学, 薬学部薬理学研究室, 教授 (20091332)
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Keywords | メタンフェタミン / 薬物自己投与実験 / 渇望 / 薬物探索行動 / カンナビノイドCB1受容体 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / 側坐核 / 前頭前皮質 |
Research Abstract |
[目的] 薬物依存症の最大の問題点は、渇望の再燃にある。本研究では、脳内報酬系との関与が示唆されるニコチン性ACh神経系及び脳内カンナビノイドシステムに焦点を当て、覚せい剤methamphetamine(MAP)探索行動/渇望再燃の発現機構を明らかにする。 [方法] ラットのMAP自己投与法を用いて行った。まず、ラットがレバーを1回押す毎にMAPがMAP関連刺激(音及び光)と共に微量注入(0.02mg, i.v.)される訓練を10日間行った。その後、MAPを生理食塩液に置換して5日間の消去過程(薬物関連刺激の呈示なし)を行った。MAP探索行動(生理食塩液自己投与下でのレバー押し行動)の実験はMAP退薬6日より開始し、その誘発因子としてMAP関連刺激及びMAP priming投与(1.0mg/kg, i.p)を用いた。 [成果] MAP探索行動は、カンナビノイドCB1受容体(CB1R)作動薬HU210(32μg/kg, s.c.)投与により誘発された。またBU210(10μg/side)の側坐核(NAC)または前頭前皮質(PFC)内微量注入によっても、MAP探索行動は誘発された。逆に、HU210(32μg/kg, s.c.)によるMAP探索行動は、CB1R拮抗薬AM251(32μg/side)のNACまたはPFC内微量注入により抑制された。一方、薬物関連刺激及びMAP-priming投与によるMAP探索行動はいずれも、AM251(32μg/side)のNACまたはPFC内微量注入により抑制された。これらのAM251の作用はいずれも、非選択的ニコチン性ACh受容体(nAChR)拮抗薬mecamylamine(10μg/side)及びα4β2型nAChR拮抗薬DHβE(32-100μg/side)のNAC及びPFC内微量注入により拮抗された。しかしながら、α7型nAChR拮抗薬MLA(1-3.2μg/side)の微量注入では拮抗されなかった。 以上より、MAP探索行動はNAC及びPFCにおけるCB1Rの活性化を介してのACh伝達の低下に基づくα4β2型nAChRの不活性化に起因する事が示唆された。
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