2007 Fiscal Year Annual Research Report
依存性薬物への"渇望"の再燃に関わる脳内責任部位ならびに生体機能分子の解明
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18590060
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
山本 経之 Nagasaki International University, 薬学部, 教授 (20091332)
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Keywords | methamphetamine / 薬物自己投与実験 / 薬物への渇望 / CRF / ストレス / ラジカル産生 / カンナビノイドCB_1受容体 / グルタミン酸神経 |
Research Abstract |
今年度はmethamphetamine(MAP)への渇望の再燃(薬物探索行動の発現)に関わる以下の4点を明らかにした。 1.渇望の誘発因子としてのストレスに関する実験:オペラント装置内でのストレス(電撃ショック)負荷によって,MAP探索行動が誘発された。また,MAP探索行動はストレス関連分子である副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体拮抗薬によって有意に抑制された。この事から,MAP探索行動は,CRF受容体の活性化を介して発現する可能性が示唆される。 2.ラジカル産生に関する実験:MAP探索行動はラジカル消去剤エダラボンによって有意に抑制され,MAP探索行動発現にはラジカル産生が促進的に働いている事が示唆される。 3.扁桃体(BLA)のカンナビノイドCB_1受容体(CB1R)に関する実験:MAP関連刺激呈示により惹起されるMAP探索行動は,CB1R拮抗薬AM251のBLA内微量注入により有意に抑制された。しかしながら,MAP priming投与により惹起されるMAP探索行動は,BLA内微量注入では抑制されなかった。この事から関連刺激とpriming投与では,作用メカニズムが違う事が示唆される。 4.グルタミン酸神経系に関する実験:AM251によるMAP探索行動抑制作用におけるBLAから側坐核(NAC)および前頭前皮質(PFC)に投射するグルタミン酸神経系の関与を追究した。BLA内AM251微量注入によるMAP探索行動抑制作用は,PFCならびにNAC内へのAMPA受容体拮抗薬DNQXの微量注入によって拮抗された。この事からMAP関連刺激呈示によるMAP探索行動は,CB1Rの活性化を介してBLAからNACおよびPFCに投射するグルタミン酸神経の活動が低下する事によって誘発される事が示唆される。今後,これらの行動変容とグルタミン酸遊離量との相関性を明らかにしなければならない。
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