2007 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器系におけるアクアポリン水チャネルの発現亢進の意義に関する研究
Project/Area Number |
18590061
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
礒濱 洋一郎 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (10240920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久恒 昭哲 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (50347001)
宮田 健 崇城大学, 薬学部, 教授 (90040310)
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Keywords | アクアポリン / 肺胞上皮細胞 / CO_2がス透過性 |
Research Abstract |
肺気腫など、肺胞の傷害を伴う呼吸器疾患に対する治療法は高濃度酸素吸入以外になく、肺胞の再生や肺でのガス交換を促進する治療法の開発が望まれている。我々は水チャネルとして知られるaquaporin(AQP)が水のみならずCO_2ガスをも透過させることを見出し、本分子がガス交換の効率化を考える上での重要な分子となる可能性を提唱してきた。今回は、AQP類によるCO_2ガスの透過性亢進機序およびその細胞生物学的意義を解明するとともに、アデノウイルス発現系によるAQP高発現動物の作製を行った。その結果、AQP類は、種々のアイソフォーム間で良く保存さえている孔構造内腔に存在するシステインおよびヒスチジン残基の点変異により、水透過性に影響することなくCO_2ガス透過性を失うこと、また、2価の金属イオンキレート薬EDTAもAQP類を介した水透過性に影響せず、CO_2ガス透過だけを抑制することが判明した。すなわち、AQPを介したCO_2ガスの透過亢進作用は、CO_2ガスが水分子のための孔構造を非特異的に通過しているのではなく、2価の陽イオンおよびシステイン、ヒスチジン等のアミノ酸残基によって構成される独自のフィルター様機構によって調節されていると推定された。さらに、AQPを安定高発現させた細胞では、コントロール細胞に比べ低酸素により誘発される細胞死が著明に軽減することが明らかとなった。AQPの高発現動物については現在なお作製中であるが、上記の成績はAQPが呼吸生理学的に重要な役割を果たしていることを明確に示す科学的証拠であり、換気不全を呈する種々の呼吸器疾患に対する新たな創薬標的分子を提唱するものであると考えられる。
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Research Products
(13 results)