2006 Fiscal Year Annual Research Report
バイオメカニカルストレスによる骨格筋細胞の糖代謝機能制御とその分子機構の解明
Project/Area Number |
18590064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
中山 貢一 静岡県立大学, 薬学部, 名誉教授 (50112769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10201914)
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Keywords | シグナル伝達 / ストレス / 薬理学 / 生理学 / 糖尿病 / エクササイズ / 糖代謝 / メカノトランスダクション |
Research Abstract |
エクササイズ(運動)の日常における健康維持や肥満・2型糖尿病などの代謝症候群の治療における意義について、これまでは、筋収縮に伴う体内のエネルギーの需給バランスの改善の面が主として強調されてきた。一方、エクササイズは同時に骨格筋細胞へのストレッチ等の局所的力学刺激(バイオメカニカルストレス)を与える。この受動的伸展刺激であるストレッチの糖代謝における生理・薬理学的意義に焦点を絞り、本研究を遂行している。我々の研究から、ストレッチは即時的に糖代謝を改善させ、それに関わる細胞内シグナリングはインスリンを必要としないインスリン経路の活性化である可能性が強く示唆された。マウス骨格筋やその筋束標本を用い、本年度に得られたいくつかの成果について、以下に概説する。 1)ストレッチはPI3 kinase(PI3K), Akt/protein kinaseB(PKB), p38MAPKなどを活性化した。その際、代謝センサーといわれるAMP依存性キナーゼ(AMPK)の活性化は認められなかった。また、ストレッチは4型グルコース輸送担体(GLUT4)の細胞質から細胞膜への移行を促進し、糖取り込みも増加した。 2)共焦点レーザー顕微鏡を用いた免疫組織染色法により、ストレッチが細胞内シグナル伝達分子の細胞内移動に及ぼす効果を調べた。その結果、ストレッチによりPI3Kが細胞質からカベオリン3近傍の細胞膜へと移行することが示された。一方、カベオリン3ノックアウトマウスでは、ストレッチによって糖取り込みの増加は見られなかった。以上の結果から、バイオメカニカルストレスの受容部位としてのカベオリン3とそれに連鎖するPI3K-Akt経路の重要性が示唆され、次への研究を展開させる重要な足がかりを得た。
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Research Products
(10 results)