2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオメカニカルストレスによる骨格筋細胞の糖代謝機能制御とその分子機構の解明
Project/Area Number |
18590064
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中山 貢一 Iwate Medical University, 薬学部, 教授 (50112769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10201914)
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Keywords | メカノトランスダクション / シグナル伝達 / エクササイズ / 骨格筋 / 糖代謝 / ストレス / 薬理学 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
エクササイズ(運動)は、健康維持や肥満・糖尿病などの代謝症候群の改善に資する。エクササイズは、骨格筋に対して代謝昂進に加えて、局所的な受動性力学刺激(バイオメカニカルストレス)を与える。本年度は、バイオメカニカルストレスが骨格筋において代謝センサー分子AMP-kinaseの活性上昇無しに、PI3-kinase(PI3K)-Akt経路を活性化する分子機構をより詳細に研究した。そのために、マウス腓腹筋微小筋束標本の確立とその応用を試み、以下の結果を得た。1)マウス腓腹筋微小筋束標本の作製方法を確立し、この標本における伸展刺激およびインスリン刺激による糖取り込みの増加を確認した。2)筋束標本の免疫組織染色により、caveolin-3とPI3Kとの相互作用を検証した。そして、伸展刺激により、PI3Kがcaveolin-3近傍の細胞膜へ移行することを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて確認した。現在、PI3Kとcaveolin-3とのタンパク質間相互作用の可能性を、免疫共沈降法を用いて明確にするべく、鋭意実験中である。3)Caveolin-3ノックアウトマウスから得られた筋束標本において、伸展刺激によるAktのリン酸化の減少が観察された。以上の結果から、伸展刺激によりPI3Kが細胞膜上にあるくぼみ構造(caveolae)の主要構成タンパク質の一つであるcaveolin-3と相互作用し、インスリン刺激と類似のPI3K-Akt経路を活性化し、糖取り込みを促進することが示唆された。本研究は、エクササイズに伴う受動性力学刺激の骨格筋糖取り込みにおける新たな分子機構を提示すると共に、それらの機構に関わる分子群が、血糖低下作用を有する新規薬物の標的ともなる可能性を示す。従って、創薬における力学薬理学(mechano-pharmacology)の重要性を広く明らかにする意義がある。
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Research Products
(10 results)